2007-12-17(Mon): 大学入試センターの情報提供事業のあり方−独立行政法人の統廃合問題に関連して

大学入試センターの情報提供事業のあり方について考えている。独立行政法人大学入試センター法では同センターの業務を以下のように定めている。

  1. 大学に入学を志願する者の高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的として大学が共同して実施することとする試験に関し、問題の作成及び採点その他一括して処理することが適当な業務を行うこと。
  2. 大学の入学者の選抜方法の改善に関する調査及び研究を行うこと。
  3. 大学に入学を志望する者の進路選択に資するための大学に関する情報の提供を行うこと。

この3番目に情報提供として、大学入試センターが提供しているのが「大学進学案内(ハートシステム)」である。

・大学進学案内(ハートシステム)
http://www.heart.dnc.ac.jp/

受験情報を中心に各大学の基本情報を網羅しており、その点では民間企業による大学情報に引けをとらない。しかし、ここで思うのだが、「進路選択に資するための大学に関する情報の提供」が重要ならば、ハートシステムに収められているデータを外部に公開してはどうだろう。要するにAPI経由でデータを取得しマッシュアップできるようにするということだ。大学受験情報の提供は実質的にはごく一部の民間企業による寡占状態にあるが、データをフリーにすることでそういった状況も変化するだろう。民業圧迫と批判も受けそうだが、大学入試センターの使命を考えれば、そのような批判にも反論できるはずだ。ぜひ関係者の方々に考えてみてほしい。

ところで、受験生にもあまり知られていないと思うが、ハートシステムでは研究者情報も検索できる。だが、ここには無駄を感じる。同様のデータベースとして科学技術振興機構JST)のReaD研究開発支援総合ディレクトリがあり、なぜ同じ独立行政法人でありながら、目的が同一のデータベースをそれぞれでつくってしまうのだろう。大学入試センターはハートシステムのために研究者情報を収集するのをやめ、代わりにReaD研究開発支援総合ディレクトリのデータを転用すれば、同程度の、いやいままで以上の情報提供が可能となる。科学技術振興機構JST)も他の機関がReaD研究開発支援総合ディレクトリのデータを自由に利用できるようにすればいい。こちらにもデータの外部公開を進めてほしい。

さて、独立行政法人の統廃合問題の議論が盛んだが、いたずらに統廃合を叫ぶのではなく、どの機関とどの機関で事業が重複しているのか、こういった議論を丁寧に行えいものだろうか。

大学入試センター - 大学情報提供
http://www.dnc.ac.jp/teikyo/teikyou.htm
大学入試センター
http://www.dnc.ac.jp/
・ReaD研究開発支援総合ディレクト
http://read.jst.go.jp/
科学技術振興機構JST
http://www.jst.go.jp/