A.A.O.(Allied-Brains Accessibility Online)、官公庁・独立行政法人ウェブサイト全ページクオリティ実態調査の官公庁集計結果を発表(2008-02-18)

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アライド・ブレインズ株式会社が運営するA.A.O.(Allied-Brains Accessibility Online)で、官公庁・独立行政法人ウェブサイト全ページクオリティ実態調査の官公庁集計結果が発表された(2008-02-18)。

・官公庁・独立行政法人ウェブサイト全ページクオリティ実態調査 官公庁集計結果発表
http://www.aao.ne.jp/service/research/cronos2/2008_gov/
A.A.O.(Allied-Brains Accessibility Online)
http://www.aao.ne.jp/
・アライド・ブレインズ株式会社
http://www.a-brain.com/

この調査は同社の品質解析プログラム「CRONOS 2(クロノス2)」を用いて行われたもので、調査対象となった官公庁の37サイトのうち、Aレベルと判定されたのが2サイトにとどまっている。

・CRONOS2ウェブサイト解析
http://www.aao.ne.jp/service/unneisya/cronos2.html

なお、37サイトの評価の内訳は以下の通り。

  • Aレベル:2サイト - サイト全体で基本・発展ともに十分対応している。
  • Bレベル:0サイト - サイト全体で基本・発展ともに対応している。
  • Cレベル:14サイト - 基本・発展ともに対応に着手している。
  • Dレベル:18サイト - 基本対応が不十分である/発展対応の着手が遅れている。
  • Eレベル:3サイト - 基本対応が不十分なページが極めて多い。

ちなみにAレベルの評価を得たのは、

  1. 国税庁
  2. 裁判官訴追委員会

の2サイトだった。また、国立国会図書館も今回の調査対象となっており、Cレベルと判定されている。

官公庁のサイトの評価が圧倒的に悪いという状況は、なかば衝撃的でもあり、なかば当然視もされるところだろう。ただし、今回の調査結果は、同社の独自プログラムによる判定であり、この結果はそれ以上の意味を持たないことにも注意したい。

・CRONOS2ウェブサイト解析
http://www.aao.ne.jp/service/unneisya/cronos2.html

によれば、この調査は「公開されている全ファイルを対象に統計的な解析を行う」もので、「人による評価と異なり、サイト全体を網羅した状況把握を行うことが可能とな」るところに特徴があるようだ。つまりは、定量的な調査手法によるものといえるだろう。もちろん、この手法は相応に有用なのだろう。だが、「利用者の使いやすさ(アクセシビリティユーザビリティ)の観点から評価する」ことが十分にできているとも思えない。この調査だけに左右されては、人の目による定性的な調査によってみえてくる「使いやすさ」は見落としたままになってしまうのではないだろうか。

反証というほどのものではないが、一つだけ指摘しておこう。

今回の調査結果を公表している

・官公庁・独立行政法人ウェブサイト全ページクオリティ実態調査 官公庁集計結果発表
http://www.aao.ne.jp/service/research/cronos2/2008_gov/result.html

には、ページの中段に表形式でまとめられた「集計結果一覧」がある。この表には調査対象となった37サイトがまとめられているのだが、表中の「団体名」の列に並ぶ調査対象サイトにはリンクがない。これは非常に使いにくくはないだろうか。

また、

・官公庁・独立行政法人ウェブサイト全ページクオリティ実態調査
http://www.aao.ne.jp/service/research/cronos2/2008_gov/

のページには冒頭の趣旨説明の文章に次のような一節がある。

アライド・ブレインズが独自に開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS 2(クロノス2)」を用い、利用者の使いやすさ(アクセシビリティユーザビリティ)の観点から評価するものです。

この文章を読めば、少なからぬ人が「CRONOS 2(クロノス2)」について知りたくなるだろう。しかし、上記の一節には、

・CRONOS2ウェブサイト解析
http://www.aao.ne.jp/service/unneisya/cronos2.html

へのリンクはない。これもまた使いにくいことではないだろうか。

けっして同社の揚げ足をとろうというわけではない。だが、例に挙げたようなことも含めて、「使いやすさ(アクセシビリティユーザビリティ)」は評価されるべきものである。その意味で、今回発表された調査結果は、あくまで定量的な観点からの調査であり、「使いやすさ(アクセシビリティユーザビリティ)」を判断する指標としてはあくまで半分の見方であることには十分に注意を払いたい。定量的な指標と定性的な指標の2つを併用してこそ初めて「使いやすさ(アクセシビリティユーザビリティ)」の実現に一歩近づくことを忘れないでおこう。

なお、今回発表されたのは官公庁サイトの評価結果であり、独立行政法人民間法人の調査結果は、2008年3月上旬に発表されるという。