2008-05-28(Wed): 大学職員の方々へ−新任者へのまなざし

大学院での勉強や浪人生活を終え、この春から大学教員として着任した方々が多数いる。私自身の知り合いでもようやく大学にポストを得た人が少なくない。

そういったいわば新任の教員たちから様々な場面で話を聞くことがある。

誰もがやはり新しい環境や新しい待遇に戸惑い驚くことがあるようだ。だが、少々気になることも耳にする。大学職員の方々とまだうまくコミュニケーションできない、という悩みである。

大学は様々な人々で構成される。学生や院生もいれば、教員や職員もいる。理事会もあれば同窓会もある。学生や院生も一様ではない。初等教育からの一貫教育でその大学の文化に馴染んでいる学生・院生もいれば、大学院からその大学に入ってくる院生もいる。同じことは教員や職員にもいえるだろう。ともあれ、多様なバックグラウンドを持つ人々で構成されるのが大学であり、それがまた小さいながらも一つの社会である大学の魅力でもある。

さて、何が言いたいのか。

大学にとって人は資産であるということ。人に優る資産はそうそうはないということ。

大学職員にとって、若い新任の教員はどのように映るのだろう。その敬意を払うべき学識を有する若者とみえるのだろうか。あるいは現実の世間を知らない若造とみえるのだろうか。尊敬と不満とが半分ずつ同居する屈折した思いを持つ、というのが実情だろうか。いずれにせよ、大学職員一人ひとりの心中に様々な思いがあることだろう。

だが、一つお願いしたい。

新たに着任した若手の教員をぜひ暖かく迎え入れてほしい。彼ら・彼女らは時間をかけて研究を深め、その業績を認められてあなたが働く大学に受け入れられた貴重な人物なのだから。彼ら・彼女らには、初めて、正式に「先生」と呼ばれる晴れがましさ(おごりとは違う)があるだろう。自尊心もあるだろう。逆に責任感もあるだろう。そのような様々な思いを持って、大学教員としての第一歩を踏み出している若手をぜひ暖かくみつめながら、大学の中に迎え入れていってほしい。大学は様々な人々によって成り立つが、その核にあるのは教員と職員である。教員と職員の間に互いに信頼と敬意が行きかっていなければ、あなたの大学はいま以上に良くはならない。あなたが大学をもっと良くしようと努力する職員の一人であるならば、まずは新任の教員を敬い信じ扶けてほしい。もし、周囲の職員に不心得がみられるなら、それも正してほしい。それもまた大学職員の責務というものだと、私は思う。

まあ、難しいことはいい。

大学教員としてのキャリアをあなたの大学でスタートした教員が、ずっとその大学に留まるとは考えにくい。だが、あなたの大学は最初に勤めた大学として生涯に渡って記憶されることだろう。後年、嫌な大学だったと思われるのは、誰だってうれしくない。逆に最高の職場の一つだったと記憶されるなら、それほど光栄なことはない。アンチではなく、ファンを。そう考えてみよう。あなたが奉職する大学を一人でも多くの新任教員が好きになってくれるよう、大学職員一人ひとりがとにかく努力してほしい。