2008-08-16(Sat): 東京国際ブックフェアのこと(2)

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・「東京国際ブックフェアのこと」(編集日誌、2008-07-18
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080720/1216545999

を書いたが、出版社・未来社の西谷能英さんが、

・「このひとたちが「読者」なのか」(未来の窓137)
http://www.miraisha.co.jp/mirai/mado/mado2008.html#137
未来社
http://www.miraisha.co.jp/

を書いている。ここに印象的な指摘がある。

祭典が終わったばかりで問題点を整理しきれていないところだが、最大の問題は、このブックフェアがなによりも本のバーゲン・フェアでしかないことである。

まったくもって同感。ただ、出版業界の外に身を置く立場からすれば、出版業界人の交流会の印象があるということも付け加えておきたい。様々なビジネスショーに行くが、東京国際ブックフェアは、ブースにいる出版社の人間のマナーが最低だと思う。顔見知りの業界人同士での話に興じ、来場者の対応すら満足にできていないブースがとにかく多い。出版の現状を考えれば、わざわざ東京ビッグサイトまで足を運んでくれている来場者に挨拶の一つくらいできないものだろうか。できれば名刺を差し出すくらいのふるまいを求めたいが、そこまで多くは期待しない……。

西谷さんは、

平たく言ってしまえば、東京国際ブックフェアでの購買者は、ひとりひとりが個性的な「読者」であることから個性の見えない「消費者」になりつつある。もちろんそれぞれの生活のなかで本の占める比重の高いひとたちであろうが、それでも本を介在させて生産者(メーカー)である出版社の人間とコミュニケートする絶好の機会であることをあまり認識していないような気がする。こちら側の働きかけが弱くなっている面も否定できないが、ただ淡々と本を手に取り、ながめ、購入するかしないかをひとりで決断する、こちらからのアクセスをどことなく拒んでいるかのような、このひとたちとはいったい何者なのか。この「消費者」たちが「読者」に変身する姿をわたしはうまく想像することができない。

と言うが、東京国際ブックフェアという場の意味を考えれば、ホストである出版社の人間こそが、まずなにをなすべきか考える必要があるのではないだろうか。