2009-04-19(Sun): 公共図書館の源流を訪ねて(3)−成田・成田山仏教図書館

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・「成田市立図書館を見学−地域百貨店との連携や公園環境の活用を提案してみる」(編集日誌、2009-04-19)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090420/1240230625

に続き、成田の図書館めぐり第二弾。

成田市立図書館を後にして成田駅まで一度戻り、そこから表参道を歩いてまずは成田山新勝寺へ。

大本山成田山
http://www.naritasan.or.jp/

大本堂を出て聖徳太子堂を超えたところにある階段を下りていくと、

成田山仏教図書館
http://www.naritasanlib.jp/

が現れる。

ドアを開けて入っていくと、細長い館内へとつながっていく。

右手に閲覧席があり、

奥にも閲覧室が広がっている。手前の席は誰でも利用でき、受験生らしき若者が何人か勉強している。奥の席は調査・研究用途。

ちなみに最近はずいぶん減ったというが、受験生の勉強場所としての利用を認めているという。この書架には受験用参考書や辞典類が並んでいる。参考書のほとんどは利用者である受験生たちが持ち込んだものとのこと。

基本的に閉架制の図書館だが、ホールにはさすがに仏教図書館らしい雑誌が並んでいる。

さて、ありがたいことに図書館の大木雅雄さんのご好意で、書庫に入れていただいた。

成田山仏教図書館という名前から宗教書だけが蔵書かと思ってしまうが、成田山第15世貫首石川照勤僧正の

私儀コノ度公衆ノ閲覧ニ供センガ為メ内外ノ図書ヲ蒐集シ私立成田図書館ヲ設置仕候条此段及開申候也

・概要
http://www.naritasanlib.jp/sub1.html

という考えに基づいて設けられた「公共」図書館ということだけはある。実に様々な書籍がある。たとえば、夏目漱石の著作の初版本、石川貫首が支援した児童文学者・鈴木三重吉が献じた謝辞入りの著書など。さらに感動したのは、1889年(明治22年)創刊の美術雑誌『國華』を創刊号以来ほとんど欠落なく所蔵していること。

これが創刊号。信じられないほどの状態の良さだ。

・國華
http://publications.asahi.com/ecs/29.shtml

大木さんにうかがったところ、創立108年目にあたる今年度から図書館の業務は縮小傾向にあるという。開館日を限定し、館報も終刊とのこと。

だが、

成田山仏教図書館蔵書目録総合リンク集
http://www.koueki.net/narita/

の公開によって、九州などの遠隔地からの来館や海外からの問い合わせがあるという。専門性の高い公共図書館としての使命は、いまだ消えてはいないだろう。成田山を訪れる機会があれば、ぜひ訪ねてみてほしい。

成田山仏教図書館
http://www.naritasanlib.jp/

・「公共図書館の源流を訪ねて(1)−掛川・報徳図書館」(編集日誌、2009-03-08)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090309/1236576739
・「公共図書館の源流を訪ねて(2)−掛川・報徳図書館」(編集日誌、2009-04-13
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090420/1240181093