2009-07-04(Sat): WI2研究会に参加/広島市立中央図書館を見学
2009-07-04(Sat)〜2009-07-05(Sun):
電子情報通信学会 第15回Webインテリジェンスとインタラクション研究会
(於・広島県/広島市立大学)
http://www.ieice.org/~wi2/next.html
に参加するため一路、広島へ。
研究会の会場である広島市立大学に行く前に、市内中心部にある広島市立中央図書館を見学してみた。
まず目についたのが、サインの工夫。
フロアマップが階ごとに3色に分けられ、各階その色を使って誘導のサインがある。
そして、衝撃的なサインが目に入る。
「図書館喫茶」。店名のインパクトに惹かれ、2階から1階へと降りてみたが、
メニューはごく普通でいささかがっかり。広島市立図書館は旧広島藩の浅野家から寄贈された資料が多数ある。
・広島市立図書館 - 特別コレクション
http://www.library.city.hiroshima.jp/collection/
ぜひ、こういった資料を活かし、たとえば浅野家の朝食メニューを再現したり、あるいは図書館らしさを感じさせるメニューを開発してほしい。
自由閲覧室Aにはベビーベッドが置かれている。利用実績はそれほどでもないということだが、試みに感心。
カウンターに近い書架の上には、出版関係のPR誌や「出版ニュース」、「これから出る本」が置かれている。寄贈されたものの余りを配布しているそうだ。「これから出る本」は結構貴重な情報源なのでこれはありがたい。図書館を目の敵にする出版関係者もいる。だが、このように図書館は本のPRの場になるわけで、うまく活用していってほしい。ちなみに、PR誌を図書館に寄贈している出版社はどれくらいあるのだろう。
カウンター脇に、フランスをテーマにしたミニ展示がある。こういう展示自体はよくあるが、写真上部のエッフェル塔の切り抜きをご覧いただきたい。すばらしい出来。器用な方がいるものだ。図書館はこの手の達人が結構多いが、ライブラリアンの美術展のような企画はどうだろう? 図書館総合展にいまからでも提案してみようか。
さて、展示ホールでは、折しも
・企画展「山陰の魅力大発見!!〜食のみやこ鳥取で大自然とマンガ文化にふれる旅〜」
http://www.library.city.hiroshima.jp/info/topics/0906sanin.html
が開催中。図書館同士による観光展示は、県立レベルの図書館では先行事例があるが、市町村レベルでは初めてではないだろうか。ここでも一つ感心したのが、先の閲覧室に、
関連する本の展示があったこと。企画展示は、えてして展示場所だけの盛り上がりになりがちだが、随所に関連する情報を遍在させることが重要だと思う。その優れた実践例だ。
とはいえ、この観光展示は、展示ホールで実施しているため、図書館の有する資料との連携がとれていないのは残念。単に観光パンフレット類を展示するだけでよいのか、今後の課題だろう。
同じことは、隣接して設けられ、施設上、図書館とも直結している
・広島市映像文化ライブラリー
http://www.cf.city.hiroshima.jp/eizou/
にも言える。設置の理由から戦争・平和に関わる作品上映が中心になるのはわかるが、この時期は、たとえば鳥取を舞台にした映画を上映してもよいのではないかと思う。
・とっとりフィルムコミッション - 映画ロケデータ
http://www.tottori-fc.jp/8%20eigarokr.htm
・とっとりフィルムコミッション - ドラマロケデータ
http://www.tottori-fc.jp/9%20TVroke.htm
図書館の建物はずいぶん古そうだが、平和の森の中にあるので緑が豊か。バスセンターに近いため空気があまりきれいではなさそうだが、木陰での読書を提案してみてもよさそう。
最後に一番課題と感じたことを一つ。
図書館もあれこれと呼びかけているようだが、通路への自転車の駐輪がひどいことになっている。公園内全体で駐輪スペースが欠けているのが根本的な問題なのだろう。どうしたものかと思案しつつ、図書館を出た。
・広島市立中央図書館
http://www.library.city.hiroshima.jp/library/cyuo/
・広島市立図書館
http://www.library.city.hiroshima.jp/
研究会には、やや遅れて参加。
会場となる広島市立大学は、市内中心部からバスで10分少々だが、ずいぶんと山奥。
キャンパスはたいへん美しい。
・広島市立大学附属図書館
http://www2.lib.hiroshima-cu.ac.jp/opac/index.html
の土日休館は残念。見学できず……。
芸術学部がある大学らしくキャンパスの随所に作品が展示されている。
・広島市立大学
http://www.hiroshima-cu.ac.jp/
キャンパスを手短に散策した後、いよいよ研究会へ。
まず地方開催とは思えないほどの盛況ぶりに驚く。今回は翌日に自分も発表をする身とあって、いささか緊張。研究発表は1件しか聴けなかったが、特別講演「ユーザ評価を見つめなおす」が素晴らしかった。構成は以下の通り。
- 杉原太郎(北陸先端科学技術大学院大学)「定量調査・実験と定性的調査の基本的な考え方」
- 齋藤ひとみ(愛知教育大学)「ユーザの認知プロセスに着目したWebインタラクションの分析」
- 松田昌史(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)「ゲーム理論的方法論に基づきユーザ特性を理解するための社会心理学実験」
- 松村真宏(大阪大学)「フィールドマイニングの試み」
どなたも存じ上げている方々だが、あらためてそれぞれのご研究をうかがう機会は意外にないもの。特に松村真宏さんの話は最近の自分の関心に近く、大いに触発された。
・松村研究室
http://www2.econ.osaka-u.ac.jp/~matumura/
・フィールドの魅力を掘り起こすフィールドマイニング
http://www2.econ.osaka-u.ac.jp/~matumura/fm.html