2009-10-05(Mon): メモ−勉誠出版の「ネットワーク時代の図書館情報学 」シリーズ、artscapeの記事2本

最近気になったことなど。メモとして。

勉誠出版から、いよいよ「ネットワーク時代の図書館情報学」シリーズが刊行されるようだ。

・近刊案内
http://www.bensey.co.jp/kinkan.html

によれば、まずは、

・小林麻実著『図書館はコミュニティ創出の「場」−会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009年、2100円)
http://www.bensey.co.jp/book/2178.html
・齋藤泰則著『利用者志向のレファレンスサービス−その原理と方法』(勉誠出版、2009年、2100円)
http://www.bensey.co.jp/book/2177.html

の2冊が出るらしい。特に、

・六本木ライブラリー
http://www.academyhills.com/library/

を立ち上げた小林麻実さんの『図書館はコミュニティ創出の「場」』はぜひ読んでみたい。目次は以下の通り。

  • 前書きにかえて―六本木ライブラリー設立趣意書
  • 第1章 「場」としての会員制ライブラリー
    • イノベーションのためのライブラリー
    • 多くの人の異なった希望をまとめあげていく
    • ターゲットは「組織を離れた個人」
    • 本が決められないならサービスで勝負しよう
    • ライブラリーが利益をあげられる理由
    • ベンチャー企業立ち上げの日々
  • 第2章 イノベーションの場としてのライブラリー
    • 社会を進歩させるために
    • コミュニティを創るライブラリーの要件
    • 会話を始めるためのデザイン
    • 信頼に基づく知の交換
    • ソーシャル・キャピタル
    • ライブラリーメンバーの姿
    • ライブラリートークの始まり
  • 第3章 グローバリゼーションによって変化する組織と個人
    • グローバリゼーションとITによるネットワークの変化
    • 境界を融合する企業
    • 企業組織とライブラリー
    • 知識経営
    • ITとナレッジと図書館
    • 終身雇用とナレッジマネジメント
    • 企業ライブラリーの変化
  • 第4章 ナレッジからイノベーション
    • 知識情報の専門部署
    • 組織の外にある情報
    • コンペティティブ・インテリジェンス
    • リストラとライブラリ
    • 図書館は何のために存在するのか?
    • ボーダーレス社会における図書館の可能性
  • 第5章 世の中に存在していないものを創るということ
    • イノベーションを社会で起こすために
    • 図書館をゼロベースで考え直す
    • 自律した人々のつながりの場

・開かれた私立図書館の事業可能性調査
http://d.hatena.ne.jp/i-009/

という調査研究も始まる時期にタイムリーな出版。刊行が待ち遠しい。

『利用者志向のレファレンスサービス』は、目次を見た限りでは、「ネットワーク時代の図書館情報学」というシリーズ名に沿うものなのか、まだわからない。

  • はじめに
  • 第1章 レファレンスサービスの動向
  • 第2章 レファレンスサービスの原理
  • 第3章 レファレンスプロセスとレファレンスインタビュー
    • レファレンスプロセスのモデル
    • レファレンスインタビューと情報要求
    • 情報探索理論とレファレンスインタビュー
    • ナラティブ・ベイスト・レファレンス
  • 第4章 バーチャルレファレンス
    • バーチャルレファレンスとは
    • バーチャルレファレンスの評価
  • バーチャルレファレンス利用研究
  • 第5章 レファレンス協同
    • レファレンス協同の類型
    • ネットワークによるレファレンス協同のモデル
    • 日米におけるレファレンス協同の実際とその特徴
    • レファレンス事例の記録
  • 第6章 レファレンスサービスにおける情報源の組織化
    • 情報発信型サービスの必要性に関する理論的根拠
    • 情報アクセス形成方針
  • あとがき
  • 索引

インターネット関係の記述が、

・レファレンス協同データベース
http://crd.ndl.go.jp/jp/public/

だけだとしたら残念。手前味噌を承知で言えば、

Yahoo!知恵袋
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/

のようなサービスが示す可能性についてふれていることを期待したい。

勉誠出版からもう1冊。こちらは「図書館情報学のフロンティア」シリーズの9冊目。

日本図書館情報学会研究委員会編『情報アクセスの新たな展開−情報検索・利用の最新動向』(勉誠出版、2009年、2625円)
http://www.bensey.co.jp/book/2182.html

目次は以下の通り。

  • まえがき
  • 第I部:情報アクセスを取り巻く環境
    • 情報検索のこれまでとこれからに向けて
    • デジタル化・ネットワーク化による情報組織化の本質的な変容
    • 情報探索行動
  • 第II部:情報検索システムの現状と展望
    • Web検索の原理と動向
    • 図書館OPACの現状と将来
    • 日本におけるデータベース検索サービスの動向
    • web情報検索手法の最新動向
    • コラム 『インターネットで文献探索』はいまだ健在なり!
    • コラム 検索実験の大規模化と情報検索研究の変容
  • 第III部:人による情報アクセス支援
    • 米国図書館協会による"reference transactions"の定義改訂とその背景
    • 情報サービスを担う人材
    • コラム インターネットが情報や文献を調べることに与えた影響
  • 索引

気になるのは「図書館OPACの現状と将来」と「米国図書館協会による"reference transactions"の定義改訂とその背景」あたりか。「Web検索の原理と動向」は、Yahoo! JAPANディレクトリ型の検索エンジンなどと書かれていないものと信じたい。

次は、アートスケープ/artscapeの記事を2本。

・「東京大学 研谷紀夫氏に聞く:『デジタルアーカイブにおける「資料基盤」統合化モデルの研究』出版について」(アートスケープ/artscape、2009-07-15
http://artscape.jp/study/digital-achive/1206583_1958.html
・大向一輝「ボーン・デジタルの情報学−第1回:生まれながらのデジタル情報」(アートスケープ/artscape、2009-09-01)
http://artscape.jp/study/born-digital/1208560_2772.html

考えてみれば、研谷紀夫さんの

・研谷紀夫著『デジタルアーカイブにおける「資料基盤」統合化モデルの研究』(勉誠出版、2009年、9870円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4585104429/arg-22/

勉誠出版が版元だ。大向さんの連載は期待大。全6回の隔月連載と言わず、せめて毎月連載にしてほしい。