2010-03-17(Wed): 北米ツアー1日目−セント・パトリック・デーにニューヨーク公共図書館(New York Public Library)の科学・技術・ビジネス図書館(Science, Industry and Business Library)を訪問

かねてから、何よりも自分が一番楽しみにしていた北米ツアーの開始。昼に成田を出て、機中約半日を我慢して、ついにアメリカはニューヨークに降り立った。実は東海岸に来るのは、これが初めて。あいにくというか幸いにというべきか、この日はアイルランドのお祭りであるセント・パトリック・デーのため、市内に出る電車も市内に出てからの路上も、緑をまとった人々が群れをなしていた。

さて、荷物を置いて、早速、楽しみにしていたニューヨーク公共図書館(New York Public Library、以下、NYPL)の科学・技術・ビジネス図書館(Science, Industry and Business Library、以下、SIBL)へ。恒例のアポなし図書館訪問という意味もあるのだが、今日は、先日サイトを全面リニューアルした件で、担当の方々にインタビューをお願いしておいたのだ。

・科学・技術・ビジネス図書館(Science, Industry and Business Library)
http://www.nypl.org/locations/sibl
・ニューヨーク公共図書館(New York Public Library)
http://www.nypl.org/

わざわざ担当者が4名も出てきてくださり、その上、気がつけば当初の予定を超える2時間を割いていただいた。詳細は、別途発表する予定だが、非常に参考になると思う。楽しみにしていただければ幸い。

とはいえ、これだけでは味気ないので、SIBLの業務フロア、特にウェブ関係の業務にあたる方々の執務エリアに入った瞬間、なるほど、この文化があれば、あれほどのリニューアルを実現できるわだと得心した写真、そして彼ら・彼女らの心意気を示す写真を紹介しておこう。

さて、その後、SIBLの館内を見学。日本におけるビジネス支援図書館の取り組みは正直なところ、いささか冷やかに見ているし、折に触れ公言もしているが、さて本家はどうだろうか。

もちろん、実際に自分が相談してみないと確実な評価はできないが、一言で言えば、少なくともSIBLは一定の成功を収めているように感じた。NYPL全般についての知識は、やはり、

・菅谷明子著『未来をつくる図書館』(岩波新書、2003年、735円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004308372/arg-22/

によるところが大きいのだが、全般的にこの本で描かれているのに比べ、"Job Search Central"と銘打った求職・就職支援に力を入れているように感じられた。やはり、一昨年のリーマンショック以降の世相を反映して、図書館として取り組むべき課題を緩やかにシフトさせているのだろうか。"Job Search Central"は、地上1階、地下1階の公開スペースの中で最も奥にあるのだが、館内でのサインの配置の中で、最も"Job Search Central"への誘導が多く見られ、そしてわかりやすい。

さて、印象的だったのは、財団運営で寄付を収入の大きな柱としているNYPLらしく、館内各所に寄付者への謝辞が刻まれていることだ。気づいた限りのものを写真にとっておいたので、ここで紹介しておこう。


ちなみに写真撮影はスタッフに可否を尋ねたところ、簡単な申請用紙を渡され、それに住所・氏名等を記入するだけで対応してくれた。

もう一つ、その用意周到さに感心したのが、1階の壁面にずらっと並んだ著名人による格言について尋ねたところ、サッと一枚の用紙を渡されたことだ。見れば、壁面に掲げられたすべての格言がまとめられている。これは利用者としては嬉しい一瞬。まさにマジックモーメントだ。一つ欲を言えば、この用紙の裏に格言を引用された著名人たちに関するブックリストがあるとよいかもしれない。

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)