2010-05-27(Thu): Gov 2.0 Expo参加3日目−ついに最終日、Open 311に刺激を受けつつ、メールマガジン版での「日本版Open Government特集」開始の予告

3日間に及ぶ

2010-05-25(Tue)〜2010-05-27(Thu):
Gov 2.0 Expo
(於・アメリカ/ワシントン)
http://www.gov2expo.com/gov2expo2010

も今日が最終日。今日、出席したのは以下の4つのセッションと2時間半に及ぶライトニングトーク風のショートスピーチで構成されるPlenary。

  1. Creating the Agile Government
  2. Open City/Open 311
  3. Transforming eGov Accessibility
  4. Next Generation Policy Making - The Move Toward Online Collaboration & Open Government
    • by Michael Reardon (Office of Disability Employment Policy (ODEP), U.S. Department of Labor), Mary Martha Churchman (U.S. Department of Transportation), Bryna Helfer (National Academy of Public Administration), Danielle Germain (National Academy of Public Administration), Nadia Ibrahim (Office of Disability Employment Policy (ODEP), U.S. Department of Labor)

一番面白かったのは、2番目のOpen City/Open 311。311とは緊急電話以前の行政相談電話でニューヨークやサンフランシスコ、ワシントンといった大都市を中心にここ数年で急速に整備されてきた仕組みと言う。津田大介さんの通訳をされているニューヨーク在住のライター・佐久間裕美子さんにうかがったところ、道路の陥没や近隣住民の騒音といったレベルの相談を電話ででき、かつ24時間対応しているそうだ。言ってみれば、市民を顧客ととらえた行政版のカスタマーサービスと言ったところだろうか。

Yumiko Sakuma
http://www.yumikosakuma.com/

すでにニューヨーク、ワシントン、ピッツバーグ、ボストンん、サンフランシスコ、バンクーバートロントの各都市では、この仕組みをAPIを介して提供する方法が模索されているという。

・Open311.org
http://open311.org/
・Open311 Wiki
http://wiki.open311.org/

連邦政府レベルでの取り組みも進んでおり、Open Government InitiativeやChief Information Officers Councilに記事が掲載されている。

・「Open 311」(Open Government Initiative、2010-03-03)
http://www.whitehouse.gov/blog/2010/03/03/open-311
・「Open 311 Initiative Launch」(Chief Information Officers Council、2010-003-10)
http://www.cio.gov/pages.cfm/page/Open-311-Initiative-Launch

連邦政府や州政府のレベルでの取り組みとは別に、都市単位で市民の要望に応え、同時に市民の行政参加を高めていこうという仕組みが北米各地で相当程度実践されていることに大いに驚かされた。311については元々の仕組みを含めて、少し勉強しよう。

4番目のNext Generation Policy Making - The Move Toward Online Collaboration & Open Governmentは、Information SharingとPolicy Developmentは対立項であるという図式をまず提示し、両者のバランスをどう図っていくべきかという議論。この問いはそれこそアテネにおける民主制以来、政治が抱えている古典的問題と思う。その意味で、Gov2.0は単に政府における情報技術活用の話に留まるのではなく、社会・文化全般に及ぶことをあらためて痛感させられた。

なお、議論の中で、示された

Problem → Community → Tools

という段階も興味深かった。まず問題の発見があり、その問題の解決のために関与すべき利害関係者を洗い出し、その先にそれらの関係者を巻き込んでいく上で適切な手法の選択があるという話だ。こういった議論の組み立て方には大いに学ばされる。

以上でGov2.0 Expo参加記は終わり。

なお、メールマガジンACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)では、次週5月31日(月)発行予定の第429号から1ヶ月程度に渡って、日本版Open Government特集を予定している。メールマガジン版の記事はブログ版には掲載いていないので、未登録の方は、この機会に配信登録の手続きをしていただければ幸い。

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