2010-06-21(Mon): 7月は国立国会図書館のイベントに注目
すでにイベントカレンダーで紹介してきているが、7月は国立国会図書館で「お!」と思わされるイベントが立て続けに開催される。私が気になっているものを幾つか紹介しよう。
まずは、国民読書年を記念した
2010-07-13(Tue):
国民読書年記念講演会「図書館と読書−ドイツ・ヨーロッパの経験」
(於・東京都/国立国会図書館 東京本館)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/bremenlecture.html
がある。バーバラ・リゾンさん(「ドイツの図書館と情報」前代表、ブレーメン市立図書館長)を迎えて、「ヨーロッパ、特にドイツの図書館による読書推進の取組」を語っていただくようだ。講演の後には、長尾真さん(国立国会図書館長)との対談も予定されている。日本で読書というと、またこれまでの国民読書年関連の催しをみていても、子ども向けや文学限定という香りを感じ、そこに不満を持っているだけに、当日リゾンさんがどのようなヨーロッパやドイツの経験を語るのか非常に気になる。
次は、
2010-07-16(Fri):
国立国会図書館講演会「電子図書館の可能性」
(於・京都府/国立国会図書館 関西館)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/dl_future.html
だ。内容は以下の通り。
- 講演「理想とする電子図書館」
- 長尾真(国立国会図書館長)
- 報告「国立国会図書館の電子図書館の現在」
- 大場利康(国立国会図書館関西館電子図書館課長)
- パネルディスカッション「電子図書館の可能性」
- パネリスト
- 長尾真(国立国会図書館長)
- 仲俣暁生(「マガジン航」編集人)
- 藤川和利(奈良先端科学技術大学院大学准教授・電子図書館研究開発室長)
- 大場利康(国立国会図書館関西館電子図書館課長)
- 司会
- 中井万知子(国立国会図書館関西館長)
- パネリスト
長尾真さんをはじめ、国立国会図書館からの講演・報告も気になるが、ここはあえてパネルディスカッション「電子図書館の可能性」に注目したい。というのも、パネリストに仲俣暁生さんが入っているからだ。
・【海難記】 Wrecked on the Sea
http://d.hatena.ne.jp/solar/
・マガジン航
http://www.dotbook.jp/magazine-k/
手前味噌ではあるが、仲俣さんは来月刊行予定の『ブックビジネス2.0−ウェブ時代の新しい本の生態系』の編者を一緒にやらせていただいている。仲俣さんとは実は自分が編集者をしていた頃からの知り合いなのだが、まさか10年以上を経て、このような形で仕事でご一緒できるとはまったく想像していなかった。
・岡本真、仲俣暁生編『ブックビジネス2.0−ウェブ時代の新しい本の生態系』(実業之日本社、2010年、1995円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408108537/arg-22/
「ワイアード」日本版、「季刊・本とコンピュータ」等、一貫してウェブと本を巡る仕事をしてきた仲俣さんが「電子図書館の可能性」をどう語るのだろうか。これは楽しみなイベントだ。
ちなみに、今回は国立国会図書館の東京本館ではなく、関西館での開催である。そして、「当日の様子はウェブにて中継予定」とのこと。記憶の限りでは、関西館で実施する催しがインターネットで中継されるのは初めてのことではないだろか。この点でも大いに気になっている。
そして、下旬には、
2010-07-27(Tue):
国立国会図書館講演会「セマンティック・ウェブと図書館:機械が情報を読む時代へ」
(於・東京都/国立国会図書館 東京本館)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/bib_lecture_h22.html
が開催される。登壇者は、
- 永森光晴(筑波大学)「知のリンク:セマンティック・ウェブとは何か」
- 大向一輝(国立情報学研究所)「セマンティック・ウェブと学術情報サービス」
- 大柴忠彦(国立国会図書館)「国立国会図書館 書誌サービスの新展開:Web NDLSHとDC-NDL」
の3名。学会のような場を別とすれば、日本の図書館業界でセマンティック・ウェブと図書館をテーマにした催しは初めてではないだろうか。これは必見・必聴。私も参加する予定。