2006-04-11(Tue): 国会質問「放送大学のラジオ教材のインターネット配信」

2月18日の日誌に記した「放送大学のラジオ教材のインターネット配信に期待する」に関連する国会質問が3月22日の参議院文教科学委員会で行われた。国会会議録から該当部分を紹介しよう。なお、質問者は浮島とも子議員。答弁に立っている田中壮一郎は文部科学省生涯学習政策局長、小坂憲次さんは文部科学大臣

また次に、放送大学のラジオ教材のインターネット配信についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 近年、インターネットの急速な発展により、放送と通信の融合という言葉が言われております。その一つにインターネット上でラジオ番組が聞けるインターネットラジオというものがございます。このインターネットラジオはかなり前からある技術でございますけれども、最近はこの番組を丸々パソコンや携帯用のオーディオプレーヤーにコピーして、いつでもどこでもその番組が聞けるというポッドキャスティングが急速に広がっております。海外の教育機関では、スタンフォード大学が講義の内容をこのポッドキャスティングとして全世界どこからでも聞けるようにするなどの取組が行われております。放送大学でもこのようなインターネットを通じた番組の配信実験を昨年行われたとお聞きしましたけれども、この実験の概要と今後の計画についてお伺いをいたします。

○政府参考人(田中壮一郎君) 放送大学のインターネットを通じました配信実験についてのお尋ねでございますけれども、ラジオの教材の配信実験につきましては、インターネットを活用することによりまして、御指摘のように学生の都合に合わせて受講あるいは再受講の機会を提供しようというものでございまして、今回の実験では著作権上問題のない二十科目を対象といたしまして、同時アクセス数、すなわちアクセス集中がどの時間にどの程度になるのかといったこと、あるいはインターネットに不慣れな学生からの問い合わせ状況等を調査しておるところでございまして、現在、放送大学ではその実験結果について解析をしているところでございます。
 また、十八年度におきましては、今回の結果も踏まえまして、配信番組を来年度は三十科目に拡充いたしますとともに、教育効果をより上げるために、音声に合わせて文字や静止画像を提示するといった実験も行うこととしておるところでございます。

浮島とも子君 ありがとうございます。
 放送大学学園法第一条では、「この法律は、放送大学の設置及び運営に関し必要な事項を定めることにより、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図ることを目的とする。」とされております。
 この放送大学には、平成十八年度予算で約百六億円近くの国費が投入されております。その意味で、放送大学が所有するコンテンツは国民の財産でございます。これを広範に提供することは国民全体の利益にかなうものと考え、さらに海外で利用できる日本語のコンテンツとして非常に有用ではないかと思います。
 今後とも、自発的な学習者の拡充を図り、国民の生涯学習の機会を増大させていくためにも、このインターネット配信に積極的に取り組むべきと考えますけれども、大臣のお考えを、御見解をお伺いいたします。

国務大臣小坂憲次君) 放送大学は、委員御指摘のようにいつでもどこでもだれでも学習できる、そういう放送の機能を生かした学習の場として二十代から八十代までの幅広い国民の皆さんに御活用いただける、このように考えておりまして、過日私も放送大学の卒業式に伺いましたけれども、それぞれの年代の皆さんが意欲的に取り組んで、そして卒業式に、修了証の授与式においでになった様子は大変ほほ笑ましい、また私どもに感動とまた勇気を与えていただける雰囲気でございました。そういった中で、この利便性をなお一層向上させるという観点で、インターネットの活用は重要な課題だと思っております。
 今実験の課題を説明させていただきましたように、今後とも検討をしなけりゃいけない課題として、今委員がポッドキャストとおっしゃった部分について、十万人という規模のこの学生の規模に対する対応が、現在のIPマルチキャストと言われるインターネット放送の形式で徐々に対応できる環境は整いつつありますが、まだ十分ではないということで、こういった面での検討が必要なこと、また実験段階では著作権的に、著作権の面で問題のないコンテンツを使用させていただきましたが、幅広いコンテンツをこれから流すということになりますと、著作権処理が通信・放送融合時代の在り方として問題になってまいります。
 これらの検討が進んでおる著作権問題についての方向等をしっかり踏まえた上で、全国どこにおいても入手可能なインターネットの施設を通じた教材の提供ということに今後積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

この質問に際しては、2006-03-20(Mon)の編集日誌「インターネットの学術利用と政治との距離」に記したように、現在浮島議員の政策担当秘書をしている学生時代の友人からコンタクトがあった。その際に明言したように、浮島議員の所属政党である公明党は私の支持政党ではない(さらにいえば、私は明確な支持政党を持たない)。

だが、そのとき日誌に記したように、是々非々で協力すべきところは協力したいと思う。

2006-02-18(Sat)の編集日誌「放送大学のラジオ教材のインターネット配信に期待する」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060219/1140345095
・2006-03-20(Mon)の編集日誌「インターネットの学術利用と政治との距離」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060326/1143337495
・議事録:第164回国会参議院文教科学委員会第3号、2006-03-22
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/164/0061/16403220061003a.html
・国会会議録検索システム
http://kokkai.ndl.go.jp/