2008-01-07(Mon): 福林靖博さんの「図書館の情報発信」を読む

最新の技術と図書館サービス (図書館の最前線)

年末に

・「大串夏身編『最新の技術と図書館サービス』(図書館の最前線2)(青弓社、2007年、2100円)」(編集日誌、2007-12-24
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071225/1198514745

として紹介している『最新の技術と図書館サービス』(青弓社、2007年、2100円)の第3章「図書館の情報発信」を読む。著者は福林靖博さん(国立国会図書館)。冒頭はこのような書き出しで始まる。

Web2.0”という言葉に象徴されるここ数年の情報通信技術の進歩は、インターネット上の情報流通量を爆発的に増加させるとともに巨大な検索サービスを普及させ、ユーザーの情報探索活動に大きな変容をもたらした。それと同時に従来の図書館がおこなうウェブサービスの相対的な価値の低下をもたらし、そのことがウェブサービスへの図書館員の危機感へとつながっている。しかし、図書館が何らかの価値を付加した情報をインターネットを通じて無料で提供することが、これからも公共サービスのあり方の一つとして意味を持つという考えのうえに立てば、こういった状況は、逆に図書館に新たなサービス展開のチャンスをもたらしているともいえるだろう。

非常に的確に事態をとらえつつ、悲観論にならず、むしろ図書館や図書館員にとっての積極的な意味を見出そうとしている筆致が印象的だ。以降、以下の6つの具体的事例について詳細なレポートがまとめられている。この章についていえば、現職の図書館員は必読と思う。現状を悲観するのではなく、肯定的な要素を見出し、そこに自らを賭ける気概がある図書館員にはぜひ読んでほしい。

  1. テーマ別調べ方案内(国立国会図書館
  2. アジア経済研究所学術研究リポジトリ(アジア経済研究所図書館)
  3. デジタル岡山大百科(岡山県立図書館)
  4. マロニエの花咲く横芝光町立図書館blog(横芝光町立図書館)
  5. 農林水産研究情報センター
  6. 九大SNS九州大学附属図書館)

大串夏身編『最新の技術と図書館サービス』(図書館の最前線2)(青弓社、2007年、2100円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4787200364/arg-22/