2008-07-27(Sun): 鈴木忠・森山和道著『クマムシを飼うには−博物学から始めるクマムシ研究』(地人書館、2008年、1470円)

クマムシを飼うには―博物学から始めるクマムシ研究

本当にうれしい一冊が出た。

・鈴木忠、森山和道著『クマムシを飼うには−博物学から始めるクマムシ研究』(地人書館、2008年、1470円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4805208031/arg-22/

この本の来歴については、

森山和道さんの日記(2008-07-23)
http://www.moriyama.com/diary/2008/diary.htm#diary.08.07.23

に詳しいが、森山さんが編集・発行する研究者へのインタビュー・メールマガジン「サイエンス・メール」のバックナンバーを元にしている。

・サイエンス・メール
http://moriyama.com/sciencemail/

サイエンス・メールはACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)で毎回、

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と紹介しているのでご存知の方も多いだろう。ちなみに著者の一人・鈴木忠さんは、

クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

・鈴木忠著『クマムシ?!−小さな怪物』(岩波書店、2006年、1365円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4000074628/arg-22/
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0074620/top.html

で知られている。

・moriyama.com(森山和道さん)
http://www.moriyama.com/
・鈴木忠さん
http://www.hc.keio.ac.jp/smh/suzukiatsushi.htm

クマムシについては、

クマムシゲノムプロジェクト
http://www.kumamushi.net/

に詳しい。

さて、目次は以下の通り。

  • Part I - 観察
  • Part II - 生態
  • Part III - 研究
    • 以前の仕事は「ウズラの小腸に存在する中性糖脂質の単離精製と構造決定」
    • まだまだこれからのクリプトビオシス関連研究
    • 顕微鏡で微細形態を見る仕事は衰退している
    • 分類も難しいクマムシ
    • いるかどうかすら、手付かず
    • 普通に見られる!?
    • コケの中の微細な生態系の中での絡まり合い
  • Part IV - 教育
    • クマムシ研究に移った本当の理由
    • 面白い生き物を探してきて、ずっと付き合いたかった
    • 野生動物としてのクマムシ
    • 「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
    • 画廊兼酒場「がらん屋」で人生を学んだ
    • 「単純にそれを見て面白い」時代の人たちが羨ましかった
  • Part V - 文献
    • 「オニクマムシ」のアトラスを作りたい
    • クマムシの卵巣の成熟過程の多様性
    • 腹毛動物イタチムシも見てみたい
    • へんないきもの』の功罪
    • レンジでチンはしたくない
    • 貴重な文献の絵を紹介できたこと
    • 日本は貴重な資料を保存しておく文化がない
  • Part VI - 評価
    • 100年の視座を持った研究
    • 自由な研究を阻むな
    • 好奇心だけで成り立つ世界はあるか
    • クマムシの研究って何の役に立つの、と聞かれたら
    • クマムシをきちんと紹介した世界で唯一の本?
    • クマムシ?!』誕生に至るまで
    • クマムシのゲノム研究の可能性

http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN978-4-8052-0803-8.htm

森山さんには、サイエンス・メールの創刊時に、

森山和道「「サイエンス・メール」の創刊にあたって−身の回りの不思議と、その向こう側の面白さとを。」(第218号、2005-07-03
http://archive.mag2.com/0000005669/20050703172323000.html

を書いていただいているのだが、ここにある森山さんの名言を再掲しておこう。

身近なところで言えば、他人の笑顔を見ると、こちらも楽しくなる。そんな経験は誰しもしていると思う。何かに一生懸命に打ち込み、喜びを感じている人の顔は、他人を引きつける。もしそのジャンルに人を呼び込みたいのであれば、その人が何を楽しいと感じているのか、それをきちんと伝えるのがもっとも正当な方法である。

「楽しさを伝えたい」という思いで発行されてきた「サイエンス・メール」が、書籍に形を変えることでより多くの読者に出会えるよう願っている。ぜひ多くの方々に手にしてほしい。