2008-09-14(Sun): 全国図書館大会に向けて−参加者の方々に望むこと

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2008-09-19(Fri)
全国図書館大会第94回兵庫大会 第7分科会「図書館の自由」「「Web2.0時代」における図書館の自由」
(於・兵庫県神戸学院大学ポートアイランドキャンパス)
http://www.jla.or.jp/jiyu/taikai2008.html

が近づいてきた。自分もこの週末、割り当てられている事例発表について資料をまとめた。当日は以下の構成となっている。

  • 基調報告
    • 山家篤夫(日本図書館協会図書館の自由委員会委員長)「図書館の自由・この一年」
  • 事例発表
    • 高鍬裕樹(大阪教育大学)「利用記録と利用者の秘密−歴史的概観・法制度から今後の展開へ」
    • 岡本真(ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG))「Web2.0時代の図書館サービス−特に「利用情報」活用の可能性と課題」
    • 佐浦敬之(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)「貸出履歴の利用に関する意識について」
    • 高野一枝(NECネクサソリューションズ)「図書館システムの動向と公共図書館の現場」
  • 全体討議「『Web2.0時代』の図書館の自由にむけて」

午前午後を通して行われる分科会だけに時間が十分にあることがうれしい。特に最後の全体討議には2時間が割り当てられている。

さて、どれだけの方がこの日誌を読んでいるかわからないが、当日この第7分科会「図書館の自由」に参加する方には、ぜひ望みたいことが2つある。

図書館雑誌」102-8(2008-08)に掲載された全国図書館大会への招待に、私も一文を寄せている。末尾で次のように書いた。

討論においては報告者も聴衆も、それぞれの立脚点の違いから様々な食い違いを発見することだろう。互いに見出せる一致点よりも相違点のほうが多いかもしれない。だが、それはそれでよい。互いの間にある認識の隔たりのその距離感を知ること、違いを知ることは相互理解への第一歩である。

逆に世代間対立や業種間対立という観点で、この討論をとらえることは絶対に避けなくてはいけない。たとえば、ウェブの存在を自然に受け入れている20代、30代と、ウェブへの適応に苦慮している40代以上という図式は何の意味も持たない。また、図書館における現職の職員と、図書館員ではない人間との対立という図式に収まるものでもない。

共通のテーマの下、「『Web2.0時代』における図書館の自由」について我々の認識と理解が一歩でも進み、具体的な行動へとつながっていくことを期待している。

要望の1つがこれだ。よくシンポジウムが終わると、結論が出なかったという声を聞く。もちろん、結論が出ることはそれはそれで望ましい。だが、仮に結論が出なくても互いの相違点を認識できれば、それはそれで上々の成果と思う。上に書いたように「互いの間にある認識の隔たりのその距離感を知ること、違いを知ることは相互理解への第一歩である」ことに思いをいたしてほしい。

もう1つの望みは、全体討議に積極的に参加することである。やみくもに発言すればいいというものではないが、まずは積極的に発言してほしい。その際、個々人の私的な思いを述べるのではなく、各講師が相応の時間をかけて準備してきた報告や発表の内容を踏まえて発言してほしい。また、それまでの文脈と関係しない話題に転じてしまうのではなく、他の参加者の発言を受けつつ流れを意識して発言してほしい。

一つ参考になる事例がある。反面教師としてだが……。

・「津田さんが絶望した文化審議会での里中委員・三田委員らの発言」(Copy & Copyright Diary、2008-09-11)
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20080911/p1

根拠のない感情論を排し、事実の正確な理解に基づけば、全体討議では全員の知恵が「集合知」として発揮されると信じている。そうなれば、「はばたこう 未来の図書館へ」という大会テーマにも適う成果へとつながっていくことだろう。当日が実りあるものとなることを期待して、以上2つの要望を書き留めておく。

・木村祐佳「図書館の自由分科会・若手図書館員の参加を!」(「図書館雑誌」102-8、2008-08)
http://www.jla.or.jp/jiyu/column04.html#200808
・「今秋の講演予定−全国図書館大会、日本アーカイブズ学会、図書館総合展など」(編集日誌、2008-09-08)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080909/1220914439