2008-11-29(Sat): 図書館総合展を顧みる
無事終了した
2008-11-26(Wed)〜2008-11-28(Fri):
第10回図書館総合展・学術情報オープンサミット2008
(於・神奈川県/パシフィコ横浜)
http://www.j-c-c.co.jp/library/
だが、
・「第10回図書館総合展に向けて−ささやかな願い」(編集日誌、2007-11-12)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071113/1194907239
を書き、その後、
・「第10回図書館総合展に向けて−運営委員会からのお声がかり」(編集日誌、2007-11-19)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071120/1195490989
・「図書館総合展の関係者と歓談」(編集日誌、2007-11-22)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071203/1196614089
という段階を経て、いくつかの企画を反映していただいた者としては、今回の第10回図書館総合展をきちんと回顧してておきたい。Library of the Yearの標語「良い図書館を良いと言う」ではないが、まず良かったことをきちんと讃えよう。そのうえでさらに良いものへとしていくための改善点を考えていこう。
さて、前回の第9回図書館総合展を受けて、次の8点を改善点として挙げた。
- レセプションを開こう
- 初日のオープニングレセプション、最終日にクロージングレセプションを開こう。図書館総合展は館種を超えて図書館関係者が集える数少ない機会だ。レセプションという場を設けることで、館種を超えたネットワークの拡大の機会をつくりたい。
- Libraray of the Yearを洗練させよう
- まずLibraray of the Yearの決定に際しては、全館放送で会場中に周知しよう。いっそ、上に書いたクロージングレセプションの中で実施するといい。
- Librarian of the Yearも授与しよう。表彰対象を図書館という施設に限ることはない。図書館員であるとなしとに関係なく、個人も表彰されるようにしよう。
- サイトを充実させよう
- 会場の導線をよくしよう
- フォーラムとブースの間にある距離を縮めよう。大きな円形ブース会場の周囲をフォーラム会場がぐるっと取り囲むような配置ならうれしい。
- 出会いの広場をつくろう
- 会場で会えると思っていても結局知り合いに会えずじまいに終わらないようにしよう。たとえば、会場の中央にある喫茶ブースをもっと気楽に集える空間に変えていこう。
- 初対面の方も歓迎という人向けに出会いの広場には自己PRの場もつくりたい。○○さん滞在中といった大きな表札を立てて、一度会ってみたいと思っていた人に出会えるようにしよう。
- 学生を大事にしよう
- 学生用の展示ブースを設けよう。出展することは予算面で苦しいという学生は多いはず。彼ら・彼女らを支援して、図書館の若い力を育みアピールしよう。
- 各地で図書館学を学ぶ学生が一堂に会する場をつくろう。総合展の期間中、図書館専攻のある大学には休講にしてもらおう。代わりに図書館総合展に参加しレポートを書いてもらおう。
- 自由な議論の場を設けよう
- フォーラムという形式にとらわれず、自由に参加できる議論の場を設けよう。参加者は入れ替わり立ち替わりでよい。テーマを決めておいて、その話題について誰もが自由に語れるといいだろう。
- 一年のまとめをしよう
- 様々な学会の大会での研究発表成果の総まとめをしよう。図書館総合展は一年の最後に行われるイベント。この一年の研究成果の秀作をまとめて発表する機会をつくろう。
・「第10回図書館総合展に向けて−ささやかな願い」(編集日誌、2007-11-12)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071113/1194907239
1点ずつ、今回の第10回図書館総合展にどのように反映されたのか、あるいはされなかったのかをみていこう。
まず、
1. レセプションを開こう
-
- 初日のオープニングレセプション、最終日にクロージングレセプションを開こう。図書館総合展は館種を超えて図書館関係者が集える数少ない機会だ。レセプションという場を設けることで、館種を超えたネットワークの拡大の機会をつくりたい。
初日のオープニングレセプション、最終日のクロージングレセプションという提案のうち、初日のオープニングレセプションは実現していただいた。あいにく私自身は参加できなかったのだが、展示ホールの中央の軽食コーナーを使って開催されたようだ。残念なのは、招待制だったようで、私の知り合いのほとんどはその存在を知らなかったことだ。費用や場所の問題があることはわかるが、次回は少々会費をとる形でもよいので、基本的には誰もが参加できるものにするほうがいいかと思う。
2. Libraray of the Yearを洗練させよう
-
- まずLibraray of the Yearの決定に際しては、全館放送で会場中に周知しよう。いっそ、上に書いたクロージングレセプションの中で実施するといい。
- Librarian of the Yearも授与しよう。表彰対象を図書館という施設に限ることはない。図書館員であるとなしとに関係なく、個人も表彰されるようにしよう。
こちらは結局、私自身が審査員を務めた関係上、展示ホールや他のフォーラム会場でどのように伝達されたのかわからなかった。
・「図書館総合展1日目−Library of the Year 2008で審査員」(編集日誌、2008-11-26)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20081130/1228038498
ただ、大賞決定後に会った図書館総合展に来ていた方々はどなたも大賞受賞館をご存知なかったので、やはり大々的なアナウンスはなかったのだろう。ただ、主催者サイトである
・Library of the Year 2008
http://www.iri-net.org/loy/loy2008.html
での大賞受賞館の発表が速かったのは、評価すべきことだろう。また、国立国会図書館のカレントアウェアネス-Rでも翌朝には取り上げられた。
・「Library of the Year 2008大賞は千代田区立千代田図書館」(カレントアウェアネス-R、2008-11-27)
http://current.ndl.go.jp/node/9510
なお、Library of the Year 2008については、主催者である知的資源イニシアティブが意見・感想を募っている。
・Library of the Year 2008 ご感想・ご意見
http://www.iri-net.org/loy/loy08comment.html
もう一つのLibrarian of the Yearはどの主催者からも企画がなかった。が、会場で会ったライブラリアンからはLibrarian of the Yearの創設を望む声が少なくなかったように思う。ライブラリアンのロールモデルづくりは重要な課題だと思うので、次回に向けてアイデアがある方はいないものだろうか。
3. サイトを充実させよう
は、開幕前にサイトをリニューアルし、確かに改善はされた。
・図書館総合展の過去のサイト
http://web.archive.org/web/*/http://www.j-c-c.co.jp/lf09.html
・図書館総合展
http://www.j-c-c.co.jp/library/
ただ、厳しいコメントとなるが、「使いやすい」「申し込みは一括して行える」「フォーラムの参加日程やブースの来訪日程を管理できる」「ブログなどでの感想を受け付けられる」といったものにはならなかった。第11回に向けて、より抜本的な改善が必要な箇所だろう。
4. 会場の導線をよくしよう
-
- フォーラムとブースの間にある距離を縮めよう。大きな円形ブース会場の周囲をフォーラム会場がぐるっと取り囲むような配置ならうれしい。
5. 出会いの広場をつくろう
-
- 会場で会えると思っていても結局知り合いに会えずじまいに終わらないようにしよう。たとえば、会場の中央にある喫茶ブースをもっと気楽に集える空間に変えていこう。
- 初対面の方も歓迎という人向けに出会いの広場には自己PRの場もつくりたい。○○さん滞在中といった大きな表札を立てて、一度会ってみたいと思っていた人に出会えるようにしよう。
は前回よりも悪くなってしまった。すでに書いているように、
今回はブース会場の展示ホールとフォーラム会場であるアネックスホールの距離が遠すぎる。会場間が分断されてしまい、せっかくの来場者が分散してしまった……。
・「図書館総合展1日目−Library of the Year 2008で審査員」(編集日誌、2008-11-26)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20081130/1228038498
次回は空間デザインを熟慮する必要があるだろう。経済的にはブース出展者に支えられている側面がある以上、ブースへの来訪者が少ないという印象や実績を残してしまうわけにはいかない。経済が冷え込むことが予想されている状況にあるだけに、次回に向けて早急に改善案を考えないと、スポンサー離れを引き起こしてしまうのではないか。
6. 学生を大事にしよう
-
- 学生用の展示ブースを設けよう。出展することは予算面で苦しいという学生は多いはず。彼ら・彼女らを支援して、図書館の若い力を育みアピールしよう。
- 各地で図書館学を学ぶ学生が一堂に会する場をつくろう。総合展の期間中、図書館専攻のある大学には休講にしてもらおう。代わりに図書館総合展に参加しレポートを書いてもらおう。
は、
・「図書館総合展1日目−Library of the Year 2008で審査員」(編集日誌、2008-11-26)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20081130/1228038498
ですでにふれたようにポスターセッションとして実現された。内容にばらつきがあったことは残念ではあるが、そこは次回への課題と考え、まずは実現できたことがすばらしい。ここは事務局サイドの努力に感謝したい。ただ、実際に会場で聞かれた声として、ポスターセッションの設置場所は再考が必要かもしれない。会場のもっとも奥の配置されていたが、むしろ中央の喫茶コーナーの周囲への配置のほうがよかったのではないだろうか。
また、ポスターセッションは最優秀賞(1機関)、優秀賞(2機関)を選ぶ投票を受け付けていたが、その結果はどうなったのだろうか。これは早々に告知してほしいし、Library of the Yearの課題と同様、会場全体へのアナウンスも必要だろう。
学生の参加については、具体的ななにかは実現せず。
7. 自由な議論の場を設けよう
-
- フォーラムという形式にとらわれず、自由に参加できる議論の場を設けよう。参加者は入れ替わり立ち替わりでよい。テーマを決めておいて、その話題について誰もが自由に語れるといいだろう。
も未達成だったように思う。手前味噌だが、裏企画として開催した第2回ARGカフェ&ARGフェストの盛況ぶりをみると、ニーズは確実にある。
・「図書館総合展3日目−第2回ARGカフェ&ARGフェストを開催」(編集日誌、2008-11-28)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20081130/1228038496
8. 一年のまとめをしよう
-
- 様々な学会の大会での研究発表成果の総まとめをしよう。図書館総合展は一年の最後に行われるイベント。この一年の研究成果の秀作をまとめて発表する機会をつくろう。
「研究発表成果の総まとめ」は、むしろ図書館系の学会の奮起を期待したい。
以上、昨年提案した8項目について個別にふりかえってみたが、私は上出来な結果と思う。もちろん、課題を挙げだせばキリはないだろう。だが、1年という制約の中で私のような外部の人間の意見に耳を傾けつつ、最善が尽くされたのではないだろうか。図書館総合展1日目のLibrary of the Year 2008の最終選考会(第2部)の際にふと思ったのだが、なにはともあれ10年間、図書館総合展を続けてきた事務局はノミネートされてもよかったのではないか。様々な課題を感じつつも、そう思えるくらいに満足しているところもある。
さて、また近いうちに図書館総合展の事務局の方々と反省会的な打ち合わせの機会を持つ予定だ。第10回図書館総合展に参加した方、あるいは参加しなかった方。それぞれにさまざまな意見があることだろう。ぜひ、皆さんのご意見・ご要望をご自分のブログに書いてトラックバックでお寄せいただきたい。極力、事務局との打ち合わせの場に持参したいと思う。