2009-01-03(Sat): さらなるデータ開放への期待

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・中嶋晋平「図書館によるAPIの公開−PORTAの事例から」(「カレントアウェアネス」298、2008-12-20)
http://current.ndl.go.jp/ca1677

を読む。国立国会図書館が2008年3月に始めたAPI公開の経験に基づく話。PORTAの検索件数がAPI公開で倍増していることを示すデータ(図 2 PORTAの検索件数)等、重要な経験が多々語られている。

また、国立国会図書館にとってのAPI公開の意味を、

  1. Web APIの提供によって、PORTAでコンテンツを提供する機関と利用者との間の「取引コスト」を低減できたこと
  2. Web APIの公開によるデータ利活用促進の先例となったこと

とまとめているが、これも納得感のある指摘だ。

ところで、一点だけ疑問に思ったのが、

PORTAウェブサイトの利用が減ることなく、外部提供インタフェース公開後はその利用分が単純に上乗せとなっている

という一節。API公開元のサイトに利用者に来てもらわなければいけないのは、端的には広告掲載を行っている企業の場合だ。国立国会図書館のように非営利の事業である場合、極端なことをいえば、別にPORTAウェブサイトの利用が減っても構わないはず。これも極論だが、独自のインターフェースを公開する必要がなくなれば、それはそれでコスト節減にもなる。あくまでデータプロバイダーに徹するという選択肢もあるのではないか。

・「「Web2.0」時代に対応する学術情報発信へ−真のユーザー参加拡大のためのデータ開放の提案」(『情報管理』49-11、科学技術振興機構2007-02-01
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/49/11/49_632/_article/-char/ja/

国立国会図書館国立情報学研究所(NII)、科学技術振興機構JST)を名指ししてAPI公開を呼び掛けたことがある。もちろん、私の問題提起以前からそれぞれの機関で議論があり、国立国会図書館の場合は公開に至ったのだろう。また、国立情報学研究所(NII)も来年度にはAPIを公開するとも聞いている。ここに至るまでの経緯はどうであれ、2年前に述べた願いが実現していること、実現に向かいつつあることは実に嬉しい。

・「国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)で外部提供インタフェースを公開(2008-03-31)」(新着・新発見リソース、2008-05-01
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080501/1209606248