2009-10-22(Thu): 東京都立図書館協議会第24期第3回定例会に出席−特に多摩地域資料の廃棄について

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・「東京都立図書館協議会第24期第3回定例会の開催案内」(編集日誌、2009-10-12
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091018/1255833387

で案内していたように、東京都立図書館協議会第24期第3回定例会に出席。

・東京都立図書館協議会
http://www.library.metro.tokyo.jp/18/

今回は事前に笹沼崇さんが、ご自身のブログ「朝焼けの図書館員」で、

  • 多摩図書館が所蔵していた多摩地域資料約7万冊と雑誌など併せて、 計約8万冊を処分することにした。
  • 引き取りたい館は、10/23(金)までに直接取りにくること。

・「救いたい!」(朝焼けの図書館員、2009-10-17)
http://www.pot.co.jp/asayake/20091017_221422493914656.html

と書いていることに気づき、Twitterでこの問題についての情報を求めた上で参加した。

Twitter / Search - #metrolib
https://twitter.com/#search?q=%23metrolib

で一連の流れが読めるが、記録のためにも私の発言だけを抜き出しておく。なお、ハッシュタグは冗長なので削除した。

<2009年10月20日(火)0:48〜1:42の書き込み>

リンク先によると、10/16(金)の催しで、NPO共同保存図書館・多摩理事の事務局長の斎藤誠一さん(千葉経大短期大学部)から、都立図書館が10/9(金)に以下のFAXを都内自治体の公共図書館に送ったとのこと。 http://bit.ly/1SnQB3
http://twitter.com/arg/statuses/4993771878

1)「多摩図書館が所蔵していた多摩地域資料約7万冊と雑誌など併せて、 計約8万冊を処分することにした」、2)「取りたい館は、10/23(金)までに直接取りにくること」 http://bit.ly/1SnQB3
http://twitter.com/arg/statuses/4993836463

地域資料というのは、その地域固有の知識・情報を扱った図書・雑誌類を指します。
http://twitter.com/arg/statuses/4993856863

異見もありますが、主として各自治体が設置している公共図書館において非常に重要な意味を持つ資料です。
http://twitter.com/arg/statuses/4993870126

卑近な例で恐縮ですが(別の機会に使おうと思っていたネタなんですが)、私は高校生の時に、その何年か前に自宅の裏山で起きた米軍基地の燃料タンク爆発事故について文化祭で発表したのですが、その際の調査で最も有用だったのが、地元の公共図書館が所蔵していた地域資料でした。
http://twitter.com/arg/statuses/4993907937

このように地域資料というのは、市民にとって非常に重要な資料です。
http://twitter.com/arg/statuses/4993936783

今回都立図書館が廃棄処分しようとしている多摩地域の地域資料には、「過去に脱酸処理までしていた地域資料も大量に含まれている」とのことです。 http://bit.ly/1SnQB3
http://twitter.com/arg/statuses/4993955630

脱酸処理、言わば「酸性紙対策」と思えばわかりやすいですが、要するにその本や雑誌を長期間保存できるようにする処理で、「脱酸処理をするには、安くても1冊2,000円〜3,000円くらいだろうか?」とのことです。 http://bit.ly/1SnQB3
http://twitter.com/arg/statuses/4993995587

このような費用をかけてきたことから、今回廃棄候補となっているのは、本来は都立図書館としても保存を前提にしていた資料であることがうかがえます。
http://twitter.com/arg/statuses/4994032266

いずれにせよ、もし、これが事実であるなら、当月内に告知し、当月内に廃棄するというのは、権力の濫用以外の何物でもないと考えます。
http://twitter.com/arg/statuses/4994050584

幸いにと言うべきか、私は東京都立図書館協議会の委員をこの5月から拝命しています。 http://d.hatena.ne.jp/arg/20090503/1241351357
http://twitter.com/arg/statuses/4994081806

そして、都立図書館が送付したとされるFAXにおいて、引取期限とされている10/23(金)の前日22日(木)に協議会の定例会が開催されます。 http://d.hatena.ne.jp/arg/20091018/1255833387
http://twitter.com/arg/statuses/4994114704

図書館法では、「図書館協議会は、図書館の運営に関し館長の諮問に応ずるとともに、図書館の行う図書館奉仕につき、館長に対して意見を述べる機関とする」とされています。 http://bit.ly/Ojd9K
http://twitter.com/arg/statuses/4994150735

東京都立図書館条例には、委員の責務について具体的な記述はありませんが、 http://bit.ly/4wH8zR
http://twitter.com/arg/statuses/4994163114

逆に、委員の権限の制限についても特に言及はないので>東京都立図書館条例 http://bit.ly/4wH8zR
http://twitter.com/arg/statuses/4994179207

10/22(木)に開催される都立図書館協議会の第3回定例会では、都立図書館の方針が事実であるかを確認し、事実であれば異議を述べるつもりです。
http://twitter.com/arg/statuses/4994209698

そこで必要になるのが、「情報」です。
http://twitter.com/arg/statuses/4994225448

本件につき、情報をお持ちの方は、ぜひお知らせください。 http://bit.ly/S5mbM
http://twitter.com/arg/statuses/4994236885

一連のツブヤキでしているように #metrolib を付しておきますので、本件に関する発言には #metrolib をつけていただけると助かります。
http://twitter.com/arg/statuses/4994250750

また、私の個人アドレス宛てにメールをくださっても、あるいはダイレクトメッセージでもかまいません。秘密は守ります。
http://twitter.com/arg/statuses/4994263223

情報をお持ちでなくても、本件をRTで広めていただけると助かります。その波及の中から、情報が出てくるかもしれませんからね
http://twitter.com/arg/statuses/4994936677

この呼びかけだけが影響したわけではないが、その後、

・「多摩図書館の件」(図書館学徒未満、2009-10-20)
http://d.hatena.ne.jp/aliliput/20091020
・「続・救いたい!」(朝焼けの図書館員、2009-10-21)
http://www.pot.co.jp/asayake/20091021_000130493914702.html

にさらに詳しい情報、特にその後の様々な方々によるアクションの結果、呼びかけ時点に比べて変化した状況を伝える情報が集まってきた。

上記の2つの記事を読んだ上で再びTwitterに書き込んだ内容は以下の通り。

<2009年10月21日(水)10:30〜10:50の書き込み>

都立図書館による多摩の地域資料廃棄問題は、事情が明らかになるにつれ、幾つか論点がわかてきたように思う。
http://twitter.com/arg/statuses/5033036328

(1)都立図書館は1冊は保存しているということだが、流通数が少ないことが多い地域資料は1冊保存でいいのか。特に東京のように大規模震災が予測される地域で、その体制は大丈夫か
http://twitter.com/arg/statuses/5033063510

(2)市区町村図書館への告知から引取希望の名乗り出まで、約2週間という期間設定は妥当なのか。
http://twitter.com/arg/statuses/5033092076

(3)廃棄する場合、どのような廃棄方法を予定しているのか。その廃棄方法は妥当なのか。市民に放出する、古書・古本業界に売却するといったことはないのか。
http://twitter.com/arg/statuses/5033112989

(1)への私見。図書館の役割である「収集・分類・保存・提供」を考えた場合、最終的な「提供」(利用)は欠かせない。しかし、「提供」(利用)と「保存」は基本的に真逆で本来は両立しない。故に、理想を言えば、1冊を保存し、1冊を提供(利用)に廻すのが妥当。
http://twitter.com/arg/statuses/5033195770

(2)への私見。都議→都教育庁の照会によれば、通常フローと同一とのことだが、これほど大規模な冊数の場合、通常フローでは対応できないのでは?実際、多摩地域公共図書館からは期間延長の声があがったことが何よりもの証明。
http://twitter.com/arg/statuses/5033230208

(3)への私見。もし、いわゆる断裁ならありえない。都の財政状況を考えれば(私は都民じゃないですが)、折しも10月末にある神田古本祭りで売ったらどうでしょう?
http://twitter.com/arg/statuses/5033263417

個人的には、(3)に興味あり。都民への図書館の「いまそこにある危機」のこれ以上ないアピールになるのでは?
http://twitter.com/arg/statuses/5033291522

(1)については、国立国会図書館が永久保存期間としてあるという見方もできるし、それはそれで妥当だけれど、自分としては、独立した自治体、まして首都たる自治体が国に依存でいいのか疑問。
http://twitter.com/arg/statuses/5033319873

(1):ただ、このことは都立図書館や東京都だけに問題を押しつけるのではなく、日本全国での情報の安全保障問題として考えたい。
http://twitter.com/arg/statuses/5033338905

(2)については、2週間はありえない。民間企業でも2週間での決裁は困難ではなかろうか。引き取った自治体は自治体で説明責任を負うわけで、安易には動けないだろうし。そもそも、ここに至るまで、どういった情報共有がされてきたのかを知りたい。
http://twitter.com/arg/statuses/5033379335

ともあれ、ここ数日の話題の広がりをみると、図書館のなかのひとたちは、自分たちは決して孤独ではなく、幅広く連帯を求められる市民が大勢いることをもっと自覚してほしい。
http://twitter.com/arg/statuses/5033408565

こういった"People Power"を上手に得られれば、その力はなににも勝る。
http://twitter.com/arg/statuses/5033423988

方々の研修の都度、言っていることだけど、外縁にいる潜在的なサポーターのほうをみていこう。>図書館のなかのひとたち
http://twitter.com/arg/statuses/5033457288

ともあれ、時間的猶予は生まれたので(この点においては、都教育庁と都立図書館の決断に拍手)、次をどうするかが課題。
http://twitter.com/arg/statuses/5033496482

さて、ずいぶんと長くなったが、協議会での模様を差し支えない範囲で公開しておく。差し支えない範囲と断るのは、本協議会は都立図書館による事務局スタッフが作成した議事録を委員全員が確認した上でウェブで公開することになっており、全委員の確認を経る前に私の独断で他の委員の発言をここで報じるのは好ましくないと考えるためだ。

ただし、以下の2点については、都立図書館の事務局スタッフの了解を受けているので、記しておこう。

今日の協議会は、当初は「デジタル時代の都立図書館像−図書館評価を踏まえて」(仮題)を議題としていたが、2時間の協議会の時間のうち、20分程度をこの話題にあてるように事務局側であらかじめ準備してくれていた。

都立図書館からは、「資料の再活用の経過等について」という資料が配られ、今回広がった懸念に大きく関わる以下のデータが示された。

(1)都立図書館の状況及び多摩地域資料とした冊数の内訳説明
 ア 多摩地域資料 図書及び年鑑 75,276冊
         雑誌     18,294冊(748タイトル)
 イ 図書館関係資料       3,196冊(81タイトル)
 ○アの図書及び年鑑の内訳
  多摩地域の資料 約33% 約24,600冊
  東京都の資料  約48% 約36,100冊
  特別区の資料  約19% 約14,500冊

これは10月14日(水)に開催された市町村立図書館長協議会幹事会で説明された内容という。この数字、特に「アの図書及び年鑑の内訳」を見る限り、今回廃棄候補とされている資料群を「多摩」と一括りにするのは適当ではないかもしれない。もちろん、実際の資料リストを見てみないと一概には判断できないのも事実ではあるが……。

なお、私からは上に引いたTwitterでのつぶやきである

(1)都立図書館は1冊は保存しているということだが、流通数が少ないことが多い地域資料は1冊保存でいいのか。特に東京のように大規模震災が予測される地域で、その体制は大丈夫か
http://twitter.com/arg/statuses/5033063510

(2)市区町村図書館への告知から引取希望の名乗り出まで、約2週間という期間設定は妥当なのか。
http://twitter.com/arg/statuses/5033092076

(3)廃棄する場合、どのような廃棄方法を予定しているのか。その廃棄方法は妥当なのか。市民に放出する、古書・古本業界に売却するといったことはないのか。
http://twitter.com/arg/statuses/5033112989

と同じ趣旨の発言をしている。

ともあれ、上記のブログ記事でもすでに伝えられているように、資料の引取申込と実際の引取の期限は2010年1月末まで延長され、相当の時間的猶予はできたわけだ。

情報の伝達方法等、自分自身では反省点も少なくない。しかし、まずは多くの方々、特におそらくは普段図書館と接点がない方々に、これほどに図書館に関心を持ってもらえたのは嬉しいことだ。とはいえ、問題は解決したわけではない。むしろ、これからどのようなアクションをとれるのか、考え行動しなくてはいけないだろう。

個人的には、

(1):ただ、このことは都立図書館や東京都だけに問題を押しつけるのではなく、日本全国での情報の安全保障問題として考えたい。
http://twitter.com/arg/statuses/5033338905

をきちんと考えたいと思う。

そして、図書館業界の関係者には、

ともあれ、ここ数日の話題の広がりをみると、図書館のなかのひとたちは、自分たちは決して孤独ではなく、幅広く連帯を求められる市民が大勢いることをもっと自覚してほしい。
http://twitter.com/arg/statuses/5033408565

こういった"People Power"を上手に得られれば、その力はなににも勝る。
http://twitter.com/arg/statuses/5033423988

方々の研修の都度、言っていることだけど、外縁にいる潜在的なサポーターのほうをみていこう。>図書館のなかのひとたち
http://twitter.com/arg/statuses/5033457288

で述べたことをあらためて訴えたい。図書館は関係者が望み、動けば、決して孤立もせず、孤独ではない。状況に応じて、理解し、支援し、連帯してくれる市民が大勢いる。

・「第24期東京都立図書館協議会委員を拝命」(編集日誌、2009-04-29
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090503/1241351357
・「東京都立図書館協議会第24期第1回定例会の開催案内と、岡本の欠席表明」(編集日誌、2009-05-21
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090525/1243250489
・「東京都立図書館協議会第24期第2回定例会の開催案内」(編集日誌、2009-06-15)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090619/1245391950
・「東京都立図書館協議会第24期第2回定例会に出席」(編集日誌、2009-07-06)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090707/1246969562

追記

笹沼さんが一連の流れを受けて、さらに、

・「「多摩地域資料問題」の影響について思ったことなど。」(朝焼けの図書館員、2009-10-23)
http://www.pot.co.jp/asayake/20091023_183201493914756.html

を書いている。末尾の

こうしたことは、何も都立多摩固有の問題ではない。
今回の問題を通して、溢れたらこうすれば良いというモデルの提示になることを期待したいし、そのための検討・議論はオープンな形でどんどん行った方がいいと思う。

は非常に同感。