労働政策研究・研修機構(JILPT)のリニューアル

労働政策研究・研修機構(JILPT)がリニューアルした(2005-10-26)。リニューアルのねらいや変更箇所は、「ホームページのリニューアルについて」にまとめられている。全般的には良い改善といえるだろう。だが、トップページの構成、特にさまざまなコンテンツへの入口がわかりにくくなった印象はある。特にページ上部の「研究テーマ」「研究成果」「統計情報」「海外労働情報」「研修事業」「刊行物」「イベント」「労働図書館」「データベース」という分類には、組織編制に基づいた発想が感じられる。このようなメニューは内部の論理ではなく、利用者の使い勝手の観点から構成されなくてはいけない。今回のリニューアルが目指した「より利用しやすいホームページ」(「ホームページのリニューアルについて」)の実現には、まだ時間がかかるだろう。しかし、インターフェースや操作性について、論じることができるようになったことを喜びたい。データベースや統計といった備えるべきコンテンツをすでに多く備えているからこそ、見栄えや使い勝手を議論できるのである。日本労働研究機構(JIL)時代から、サイト構築に時間と経費、そして人員を投資してきた同機構の努力の賜物だろう。
なお、今回のリニューアルで一つ残念なことがある。リニューアル前のサイトには、前身である日本労働研究機構(JIL)の旧サイトへのリンクがあったが、現在はなくなっている。旧サイトそのものはまだ保存されているようだ。リンクを復活させてほしい。また、リニューアル前のサイトもぜひ保存してほしい。

労働政策研究・研修機構(JILPT)
http://www.jil.go.jp/
・「ホームページのリニューアルについて」(2005-10-26)
http://www.jil.go.jp/information/kokuchi/20051026.htm
・日本労働研究機構(JIL)の旧サイト
http://www.jil.go.jp/jil/

東京大学情報学環池内研究室、バーチャル川原寺を公開

東京大学情報学環池内研究室がバーチャル川原寺を公開した(2005-10-03)。同研究室では、「複合現実感における光学的整合性の実現」に取り組んでおり、バーチャル川原寺は、この複合現実感を用いた文化財の復元展示プロジェクトである。このプロジェクトでは、現実の世界にCGによる仮想物体を出現させる複合現実感技術を用いて、現在は建物が失われた飛鳥時代の寺院である川原寺(弘福寺)を現地で視覚的に再現することに取り組んでいる。

・バーチャル川原寺
http://www.cvl.iis.u-tokyo.ac.jp/~kakuta/virtual-kawaradera/
東京大学情報学環池内研究室
http://www.cvl.iis.u-tokyo.ac.jp/

日本データベース学会Letters(DBSJ Letters)の公開

日本データベース学会が論文誌「日本データベース学会Letters(DBSJ Letters)」に掲載された論文の閲覧を会員外に開放した(2005-10-27)。2002年10月の創刊号から最新の2005年10月号まで全号を無料で閲覧できる。

・日本データベース学会Letters(DBSJ Letters)
http://www.dbsj.org/Japanese/DBSJLetters/
・日本データベース学会
http://www.dbsj.org/

日本放送協会(NHK)、NHKオンライン「この10年」1995-2005を公開

日本放送協会NHK)が「NHKオンライン「この10年」1995-2005」を公開した(公開日不明)。1995年末からこれまでの間、NHKがどのようにインターネットを利用してきたのか、その軌跡が年表形式でまとめられている。一般社会の出来事やインターネットの出来事が併記されており、みて楽しめる年表となっている。
ただし、全面的にFlashで作成されているため、サイトの動作が遅く使いやすいとはいえない。同内容の年表がPDF形式で公開されてはいるが、これがFlash版の代わりということでもないだろう。誰もが使いやすいサイトでないことは非常に残念。特に公共放送というNHKの性格を考えれば、なおさらである。
また、10年という過去の回顧にとどまらず、これからの10年への展望を語ってほしい。近年は、NHKのインターネット事業への進出は民業圧迫であるとの指摘を民放各局が出している。このような指摘に対して、NHKはどのような見解を持ち、今後どのような事業を展開していこうとしているのか、この機会に明示すべきではなかっただろうか。

NHKオンライン「この10年」1995-2005
http://www.nhk.or.jp/toppage/10th/
日本放送協会NHK
http://www.nhk.or.jp/

国立国会図書館、レファレンス協同データベース事業のデータ作成・公開に関するガイドラインを公開

国立国会図書館レファレンス協同データベース事業のデータ作成・公開に関するガイドラインを公開した(2005-10-18)。同館が進めるレファレンス協同データベース事業におけるデータの作成方法と公開に関する考え方をまとめている。

・データ作成・公開に関するガイドライン
http://crd.ndl.go.jp/jp/library/guideline.html
国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/

奈良県立図書情報館、サイトを公開

奈良県立図書情報館が開館し、サイトが正式に公開された(2005-11-03)。蔵書検索(OPAC)をはじめ、絵図展示ギャラリー、「戦争体験文庫」非図書資料などが公開されている。絵図展示ギャラリーで、同館が所蔵する寺社や名所、古地図などの122点の電子化資料を、「戦争体験文庫」非図書資料で戦時債券などの珍しい画像を公開しており、幅広いコンテンツを用意している。また、コンテンツと蔵書検索(OPAC)の連携が図られていることがすばらしい。たとえば、絵図展示ギャラリーにある絵図「大和国多武峰 関西日光全図」のページから、蔵書検索で「大和名所絵図」を検索した結果にリンクしている。蔵書検索の有意義な使い方といえるだろう。
他方、難点も少なくない。まず、同館のトップページではFlash画像が延々と流れるようになっている。図書館のサイトはたまに訪れる場所ではない。日常的な利用を重視するのであれば、このようなトップページは好ましくない。
また、絵図展示ギャラリーを閲覧するには、利用者がドリームテクノロジーズ社の高解像度画像ビューワ「ZOOMA」を使わなくてはいけない。無料で使用できるソフトとはいえ、特定企業の製品に完全に依存するべきではない。通常のブラウザだけで閲覧できる画像も用意すべきだろう。
そして、蔵書検索(OPAC)である。検索画面は、簡易検索と詳細検索の2つが設けられているが、同館のサイト内からはまず詳細検索にリンクしている。だが、これは簡易検索へのリンクのほうがよい。一般の利用者にとっては、詳細検索はかなり高度で使いづらいものだ。せっかくキーワードを入れれば検索できる簡易検索を用意しているのなら、まず最初に利用者にみせるべきは簡易検索のほうだろう。蔵書検索について指摘しだせばきりがないが、もう一つだけふれておきたい。蔵書検索の画面の背景に「LIMEDIO」という文字が浮かんでいる。蔵書検索のページ下部にある著作権表示は、「Copyright (c) 1994-2005 RICOH COMPANY, LTD. All Rights Reserved.」と記されている。「LIMEDIO」はリコーが提供する図書館システムのことであり、この蔵書検索には「LIMEDIO」が用いられていることがわかる。だが、同館は公共の施設である。そこでこのような形で特定企業の商品を紹介する必要があるだろうか。
以上、課題も数多く指摘したが、開館前からメールマガジン「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」を発行するなど、情報発信に力を注いできた同館の地力を発揮し、改善を進めていってほしい。

奈良県立図書情報館
http://www.library.pref.nara.jp/
・絵図展示ギャラリー
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/ezu/
・「戦争体験文庫」非図書資料
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/sentai/hitosyo/
大和国多武峰 関西日光全図(絵図展示ギャラリー)
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/ezu/meisyo/meisyo019/
・ZOOMA
http://www.dreamtechnologies.com/zooma/
ドリームテクノロジーズ
http://www.dreamtechnologies.com/
・蔵書検索
http://opacsvr01.library.pref.nara.jp/mylimedio/search/search.do
・LIMEDIO
http://www.ricoh.co.jp/limedio/
・蔵書検索のヘルプ
http://opacsvr01.library.pref.nara.jp/mylimedio/help/help.do?page=toc
・Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信
http://www.library.pref.nara.jp/netservice/mailmagazine.html

国立国会図書館、「国立国会図書館資料デジタル化の手引き」を公開

国立国会図書館が「資料デジタル化の手引き」を公開した(2005-11-18)。同館で所蔵する資料を画像として電子化する際の方法が詳しくまとめられている。基本的には、同館内で「仕様の共通化や技術の共有化」と「標準化によるデータ品質の確保及びデジタル化作業の効率化」を目的としたものだが、他の機関にも大いに参考となるだろう。手引きそのものは今春に作成されている(2005-03-30)。
かねてから、国立国会図書館には電子化事業の先行者としてノウハウを公開するよう求めてきたが、これほど早く実現するとは思わず、驚かされるうれしいニュース。所蔵資料の電子化をすでに実施している機関、これから実施しようとする機関には、ぜひ参考にしてほしい。ただし、あくまで「手引き」であり、「ルール」や「ガイドライン」というニュアンスのものではないことに注意したい。手引きを利用する側には、共通化すべき個所は取り入れ、独自性を出すべき個所では取り入れないという主体性が求められる。

国立国会図書館資料デジタル化の手引き
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html
国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/