2009-11-20(Fri): WebDB Forum 2009開催2日目−特別セッション3「インターンシップと産学連携の可能性」と企業賞の授与

・「WebDB Forum 2009開催1日目−「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」と「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」、そしてサイバーエージェントの研究・開発重視姿勢のこと」(編集日誌、2009-11-19
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091123/1258964563

に続き、

2009-11-19(Thu)〜2009-11-20(Fri):
Webとデータベースに関するフォーラム2009(WebDB Forum 2009)
(於・神奈川県/慶應義塾大学 日吉キャンパス)
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/

の2日目。今日が最終日。前日で消耗しきったので、今日は少し遅れての会場入り。今日のハイライトの一つは特別セッション3「インターンシップと産学連携の可能性」だ。

・特別セッション3「インターンシップと産学連携の可能性」
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/special.html#s3

インターンを実施する企業側のパネリストとして、

を、インターンの経験者側のパネリストに、

を迎え、角谷和俊さん(兵庫県立大学)の司会で進行した。研究系のインターン、開発系のインターンと様々な事例が語られ、特に企業側からはなかなか出しにくい本音の声も聞かれたように思う。

セッション終了後に知り合いの学生・院生と話していたのだが、やはりインターンの課題を考えると、企業側が望む中長期のインターンを実施する際、またインターンを経験した学生・院生がその後、その企業に就職する際、大学と企業双方にとって利益となるモデルを創り出す必要があるのだろう。これは必ずしもインターンに限らず、また研究者としての企業への就職に限らず、ごく一般的な大学から企業へという就職の流れについても同じことが言える。大学が学生・院生を企業に送り出すだけの機関に留まらず、また企業が大学の卒業生の単に受け入れるだけの機関に留まらず、双方向的な関係を創り出すには何が必要なのか、考えるべき課題は大きく多い。

さて、時間関係が前後するが、この特別セッションの前に前身のDBWed2005から実施している企業賞の授与を行った。後日、公式サイトにも掲載されるが、ここでも紹介しておこう(敬称略、発表順)。

  • アカデミック・リソース・ガイド賞
    • 受賞者:
    • 発表題目:
      • 「質問回答サイトにおける投稿種別に注目したコミュニティ分析手法」
    • 授賞理由:
      • 継続的に研究を進め、課題・手法の両面で常に新しい知見を盛り込んでいます。
    • 副賞:
      • 産学連携のコーディネートを一件無料で行います。
    • プレゼンター:
    • 岡本真(代表取締役/プロデューサー)
  • サイジニア賞
    • 受賞者:
    • 発表題目:
      • MySpaceを用いたインディーズ推薦システムの構築」
    • 授賞理由:
      • 実際のサービスへの適用を図っており、その実用性を高く評価した。
    • 副賞:
      • サイジニア社におけるディナー賞(友人同可)
    • プレゼンター:
      • 吉井伸一郎(代表取締役、博士(工学))※代理:岡本
  • NTTレゾナント
    • 受賞者:
    • 発表題目:
      • 「Web上の将来情報の集約的提示」
    • 授賞理由:
      • 将来情報を提示するという新しいサービスに対して、その内容を集約して表示するという難しい課題に挑戦している。
    • 副賞:
      • 後日郵送いたします。お楽しみに。
    • プレゼンター:
      • 富田準二(サーチ事業部担当課長)
  • サイバーエージェント
    • 受賞者:
    • 発表題目:
      • 「理解容易性を考慮した用語説明のランキング手法」
    • 授賞理由:
      • ユーザーにとってわかりやすい文章を推薦するという着想とアプローチに感心しました。将来性に大いに期待しています。
    • 副賞:
    • プレゼンター:
  • サイボウズ
    • 受賞者:
    • 発表題目:
      • 「料理レシピの推薦と栄養バランスの可視化による食生活支援システム」
    • 授賞理由:
      • 子育て支援に関心のある主婦層にもアピールできる研究テーマであることと、実際に役立つアプリケーションを実装して評価していること。
    • 副賞:
      • サイボウズ・ラボ会社見学&会食付き無料招待券(3名)交通費込み
    • プレゼンター:
  • 楽天
    • 受賞者:
    • 発表題目:
      • 「時間の経過により価値が減衰する情報を主体とするウェブページの判定」
    • 授賞理由:
      • 古い情報でも価値のある情報は活かしていくという視点は、今後、インターネットのサービスにも応用できます。文章を形態素解析して、SVM学習という王道的手法ですが、今後新たな知見が期待されます。
    • 副賞:
    • プレゼンター:
      • 森正弥(楽天技術研究所所長)

弊社からもアカデミック・リソース・ガイド賞として佐藤弘樹さん(筑波大学)、島田諭さん(筑波大学)、福原知宏さん(東京大学)、斉藤和巳さん(静岡県立大学)、佐藤哲司さん(筑波大学)による「質問回答サイトにおける投稿種別に注目したコミュニティ分析手法」を表彰させていただいた。

佐藤さんらによる研究は、12月に予定されている

2009-12-13(Sun):
第2回知識共有コミュニティワークショップ−インターネット上の知識検索サービス研究
(於・東京都/JICA地球ひろば)
http://www.infosocio.org/cfp_workshop_a2009.html

でも、「質問回答サイトにおけるQARankを用いたユーザ貢献度の推定」と題してご発表いただくので楽しみだ。

さて、かくしてWebDB Forum 2009は無事閉幕。

思い起こせば、日本科学未来館で開催されたDBWeb2005で当時のYahoo!知恵袋担当者として「知識検索サービスの可能性と課題」と題して講演させていただき、DBWeb2006には当時の同僚であった佐藤伸介さん(Yahoo! JAPAN)の「ウェブにおける空間情報データの活用の現状」という講演をコーディネートしたのが、この催しとの最初の接点だった。その後、主催団体の一つである情報処理学会データベースシステム研究会(SIG-DBS)の運営委員に任命していただいたことから、DBWeb2007、WebDB Forum 2008、そして今回のWebDB Forum 2009と実行委員を務めてきた。

もちろん、その仕事の大変さは言うまでもない。だが、結果として得られたものの大きさは何物にも換え難い。特にここに関わることで得られた人々とのツナガリは、一生の宝だろう。そう思えばこそ、特に企業の方々には、目先の仕事のみにとらわれずに、このような場に積極的に参加することを勧めたい。得られる財産は社員一人ひとりの資産であるだけでなく、企業にとっての資産にもなる。関心のある企業関係者は気軽に連絡してほしい。その企業と社員にとって最適な出会いをアドバイスできると思う。

・「2つのスポンサー−11月18日(水)開催のDESIGN IT! Conference 2009と、11月19日(木)、20日(金)開催のWebDB Forum 2009」(編集日誌、2009-11-15)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258286967

2009-11-19(Thu): WebDB Forum 2009開催1日目−「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」と「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」、そしてサイバーエージェントの研究・開発重視姿勢のこと

実行委員として、またスポンサーとして関わってきた

2009-11-19(Thu)〜2009-11-20(Fri):
Webとデータベースに関するフォーラム2009(WebDB Forum 2009)
(於・神奈川県/慶應義塾大学 日吉キャンパス)
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/

が開幕。

午前中は登壇交渉にあたった特別セッション1「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」が開催された。

・特別セッション1「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/special.html#s1

実行委員として裏方仕事に走り回っていたので、実はご講演を満足に聴くことができなかったので、詳細は以下の記事を参照。

・「渦巻き絵文字は「台風」ではなく「まいった」、バイドゥが調査」(INTERNET Watch2009-11-20
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/webdb2009/20091120_330426.htm

個人的には前職のYahoo! JAPAN時代の上司であった井上俊一さん(バイドゥ株式会社 代表取締役社長)にご講演いただけたことが感慨深い。また、検索エンジンを語る場ではあまり登場されることがない森川亮さん(ネイバージャパン株式会社 代表取締役)にご登壇いただけたことも良かった。なによりも、この両者の組み合わせは、史上初のことであり、セッションオーガナイザー的な役割を果たした者としては冥利に尽きる。

お昼は運営委員会に参加し、その後、技術報告セッション1「Web情報処理」で座長を務めた。

・技術報告セッション1「Web情報処理
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/program.html#tech_papers1

担当セッションでの発表は以下の通り。

いずれのご発表も興味深く、座長自身が最も質問したかった。実際、サイバーエージェントの大平さん、服部さんのご報告には、コメントさせていただいたのだが、念のため書き添えておくと、聴衆の多くにとっては、サイバーエージェントと言えば、ネット広告を主業務とした広告代理店的な側面の強いウェブ企業という印象だろうが、ここ2、3年で急速に研究・開発に積極的に投資する企業へと変貌していることを指摘したかった。

事実、近年のサイバーエージェントの研究・開発への傾斜には著しいものがある。

Ameba Labs(アメーバラボ)
http://labs.ameba.jp/

を公開や、大平さんの話でもふれられたいた新規開発局にエンジニアを集約する体制の構築、そして2009年1月のインキュベーションラボラトリーの開設と矢継ぎ早に手立てを講じている。

・インキュベーションラボラトリー
http://nd-ilab.jp/

今回の技術報告にあたっては、プレスリリースも配信しており、その本気度がうかがえる。
・「「サイバーエージェントの研究開発組織「インキュベーションラボラトリー」が「Ameba」を中心としたCGMデータ解析の研究成果を発表」」(サイバーエージェント2009-11-18
http://www.cyberagent.co.jp/news/press/2009/1118_2.html

そして、なによりも素晴らしいのが、学術研究という場への参画の姿勢だと思う。早速、大平さんが自らのブログで本日の報告資料を公開している。

・「WebDB Forum 2009 で発表させていただきました」(社内NEET宣言、2009-11-19
http://ameblo.jp/just-do-neet/entry-10392241271.html

私の知る限り、たいがいのウェブ企業は学会発表の資料を公開することには二の足を踏むし、仮に公開しようとしても社内に様々な制約があるものだ。そういった関門を越えていくところに、サイバーエージェントの本気を感じる。また、報告の中でも(資料参照)、「機会があれば、Web上でデータを公開をしたい」「今後はデータ提供含め学術的な場へのフィードバックも行っていきたい」というコメントがあり、学術研究用途でのデータ公開の促進と共有財化に力を入れたい私としては、心から嬉しい内容だった。

その後、夕方はさらに特別セッション2「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」で司会を務めた。

・特別セッション2「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/special.html#s2

登壇者は、長尾真さん(国立国会図書館)と大向一輝さん(国立情報学研究所)。それぞれ、「大規模ディジタル情報とその処理技術」「学術ウェブをつくる−CiNiiのいま、これから」と題してお話いただいた。


ここ数年の自分の最大の関心事の一つに、ライブラリーサイエンスとコンピューターサイエンスが出会う場をつくることがあるのだが、まさにその現場で2つの科学の接点にいるお二人のご講演をコーディネートし、かつ司会までさせていただけたことは光栄の一語に尽きる。

夜は、ポスター発表と懇親会を兼ねたポスターレセプション。

・ポスターレセプション
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/program.html#poster

こちらも大盛況だったが、特に昨年初めてご協賛いただき、今年から本格的にポスターレセプションに参加したミクシィのブースに行列ができていたのがありがたかった。企業が、特に大きな企業が学術研究の場に関わることの難しさは、Yahoo! JAPAN在籍時に自分自身が関わっていただけによくわかっているつもりだが、サイバーエージェントミクシィの本格的な登場は、日本の情報工学研究の世界に良い変化を与えてくれるのではないだろうか。期待を込めつつ。

・「2つのスポンサー−11月18日(水)開催のDESIGN IT! Conference 2009と、11月19日(木)、20日(金)開催のWebDB Forum 2009」(編集日誌、2009-11-15)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258286967

2009-11-18(Wed): DESIGN IT! Conference 2009に参加−クラウドの信頼性についての小考察

今日は、メディア後援させていただいている

2009-11-18(Wed):
DESIGN IT! Conference 2009「クラウド時代のユーザーエクスペリエンス」
(於・東京都/ベルサール汐留)
http://www.designit.jp/archives/cat74/

にも参加した。

基調講演は、Braden Kowitz(ブレイデン・コウィッツ)さん(Googleユーザーエクスペリエンス・リサーチャー)、Donal Mountain(ドナル・マウンテン)さん(Googleシニア・ユーザーエクスペリエンス・デザイナー)による「立ち込める暗雲−Web サービスとクラウドコンピューティングにおける課題をかんがみる」。

・立ち込める暗雲−Web サービスとクラウドコンピューティングにおける課題をかんがみる
http://www.designit.jp/archives/2009/10/keynote1.html

なお、講演はGoogleとしての考えを示すものではなく、ユーザーエクスペリエンスの専門家としての考えを述べるものとの断りがあったことを記しておく。それを前提に以下をお読みいただきたい。

全般的にはクラウドコンピューティングの可能性を列挙しつつ、課題を示し、その課題をどのように解決していくかを述べていく展開だった。非常に印象的だったのは2点。

1つはクラウドの信頼性に関わるもので、コウィッツさんが通貨を例にして説明していた。元来は「貨幣」という言葉が示すように、通貨は貴金属という物質自体が価値を持ち信頼を得ていた。しかし、通貨は次第に「紙幣」に置き換わり、いまやモニター上に表示されるデジタル情報による残高が信頼を得るようになりつつあるというお話。ここから敷衍して、クラウドもいずれ通貨やそれを保障する銀行のように信頼を得ていくのではないかという見通しを示していた。

巧みな比喩ではあるが、現在のクラウドでは、銀行のような安心感を抱くことは難しいというとも思う。銀行の場合、万一銀行が破綻した場合でも、また破綻する前の段階においても、様々なセーフティーネットが張りめぐらされている。海外の銀行システムには詳しくないが、少なくとも日本の場合、銀行が破綻することを利用者はある程度想定してはいても、預貯金のすべてを失うとは思っていない。また、賛否の分かれるところだろうが、最終的には銀行業界や政府による救済をあてにしているところもある。貨幣という一元的な価値を信用に置き換えている銀行の場合、一定程度の信頼が成り立てば、第三者が救済に入ることはむしろ歓迎されるだろう(もちろん、銀行が保有しているのは、信用情報等のセンシティブな情報も多数あることはここでは脇に置く)。しかし、システムやデータ、特に様々な情報を保有するクラウドが、その提供企業が万一破綻した際、他の企業、あるいは政府の介入を誰もが歓迎できるだろうか。

この信用リスクを軽減するには、クラウド的なサービスを提供する事業者同士の持ち合いによる第三者機関を置くといった措置がなされない限り、クラウドが銀行並みの信頼を勝ち取るのは難しいのではないだろうか。そして、そのような協業による第三者機関の設置に向けて、クラウドサービスの提供事業者が足並みをそろえられるだろうか。お二人の説明に部分的に納得しつつも、釈然としない部分が残った。

もう一つ。これは広義のデザインの話。クラウド環境によって、ウェブにおいて動作することを前提にするサービスであればこそ、インターネットに接続していないオフライン環境での動作について最大限に考慮しなくてはいけないという指摘があった。実際、Gmailの開発にあたっては非常に熟慮した点という。この指摘には、ハッとさせられた。今後の自分の仕事でも十分に意識していこう。

・Togetter(トゥギャッター) - 「sugar_less」さんのまとめ
http://togetter.com/id/sugar_less
・「「クラウドの弱点」をGoogleのUX担当者が語った」(ASCII.jp、2009-11-19
http://ascii.jp/elem/000/000/476/476790/

その後は、大向一輝さん(国立情報学研究所)による「論文をみんなの手に−学術情報サービスのユーザーエクスペリエンス・デザイン」

・「論文をみんなの手に−学術情報サービスのユーザーエクスペリエンス・デザイン」
http://www.designit.jp/archives/2009/10/session11.html

を拝聴。印象的な点をあくまでメモとして自分のTwitterでのつぶやきから拾っておく。

・「ウェブと学術情報サービスについて。ウェブ2.0以降のウェブの圧倒的進化によって、情報欲求のあり方が変わった」
http://twitter.com/arg/status/5819811360
・「最初にあたるのは図書館のような『情報の入れもの』ではなく、『情報そのもの』へと、『深く』探すから『広く』探すへ、そして『見えない』情報は、『存在しない』情報となった」
http://twitter.com/arg/status/5819830405
・「このような変化を受けて、サービス対象を非専門家に広げなければ、我々の存在意義が問われると考え、CiNiiはオープン化戦略をとることにした」
http://twitter.com/arg/status/5819846765
・「オープン化戦略の目的として、『可能性の列挙』『信頼性の担保』を掲げ、サービス本体とサービス間連携のオープン化を進めた」
http://twitter.com/arg/status/5819861930

なお、このDESIGN IT! Conference 2009については、別途記事執筆を依頼している。11月30日発行予定のACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)第403号に掲載の予定。

・「2つのスポンサー−11月18日(水)開催のDESIGN IT! Conference 2009と、11月19日(木)、20日(金)開催のWebDB Forum 2009」(編集日誌、2009-11-15)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258286967

2009-11-21(Sat): NAVERアドバイザリーボードに出演

screenshot



ひろゆきさん(ニワンゴ取締役、2ちゃんねる元管理人)、徳力基彦さん(アジャイルメディア・ネットワーク代表取締役)、片桐孝憲さん(ピクシブ代表取締役社長)と続いたところに恐縮なのだが、韓国発の検索エンジンであり、日本でもこの7月からサービスを再開したNAVER(ネイバー)が「業界内外の著名人・ジャーナリストなど専門家の方々からNAVERのサービス・運営について率直なご意見・アドバイスをいただくコーナー」であるNAVERアドバイザリーボードに登場させてもらった。

NAVERアドバイザリーボード - 岡本真
http://advisory.naver.jp/4
NAVERアドバイザリーボード
http://advisory.naver.jp/
・「「Yahoo!知恵袋」産みの親・岡本真さんがNAVERを語る!」(NAVERLAND、2009-11-18
http://naverland.naver.jp/?p=1480
・「“検索エンジンは「まだ何もできていない」”−「Yahoo!知恵袋」産みの親 岡本氏がNAVERを徹底分析」(Naverプレスリリース、2009-11-18
http://corp.naver.jp/press/press_detail?docId=10000000000000136136
NAVER
http://www.naver.jp/

過分なタイトルをつけていただいて恐縮だが、取り上げてくださったNAVERの皆さまに感謝したい。

ちなみに、1週間ほど前に、

・「「Naverまとめ」を使ってみた」(編集日誌、2009-11-09)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258283349

と書いたのはそのためだったのだ。

ともあれ、お読みいただければ幸い。

2009-11-22(Sun): Wikimedia Conference Japan 2009に参加−基調講演等のセッション開催に協力

1週間のイベントラッシュも今日で小休止。今日はセッション協力として関わっている

2009-11-22(Sun):
Wikimedia Conference Japan 2009
(於・東京都/東京大学 本郷キャンパス
http://www.wcj2009.info/

へ。

冒頭にWikipedia創設者の一人であるJimmy Walesジミー・ウェールズ)さんによるビデオメッセージが流れ、次いでJay Walsh(ジェイ・ウォルシュ)さん(ウィキメディア財団広報部長)による基調講演1"Helping you build Wikipedia: How the Wikimedia Foundation supports the growth of Wikipedia and our free knowledge projects around the world "が行われた。

・「First Wikimedians' Conference in Japan」(Wikimedia blog、2009-11-21
http://blog.wikimedia.org/2009/11/21/first-wikimedians-conference-in-japan/

ウォルシュさんの話は主にWikipediaの歴史とグローバルな展開についてといったところだろうか。Wikipediaに詳しい方々にとっては物足りない内容だったかも知れないが、Wikipediaに関する最初の大規模な催しというこのイベントの性格を考えると妥当だったと思う。以下、自分のメモとして。

・「20億の文字、1400万の記事、400万の画像、250の言語で構成されているのが、Wikipediaであり、世界最大の百科事典」
http://twitter.com/arg/status/5933991203
・「Wikipediaのお誕生日は2001年1月15日」※誤変換修正済み
http://twitter.com/arg/status/5934010010
・「"Asuume Good Faith" and "Be Bold" Become Key Ideas.」
http://twitter.com/arg/status/5934078920
・「Common Questions: Who is in charrge?, Why do people edit?, Who fact-checks Wikipedia?, How can you operate without experts?, Why are there no ads?」
http://twitter.com/arg/status/5934140896
http://twitter.com/arg/status/5934191441

各言語ごとのWikipediaを比較すると、日本のWikipediaポップカルチャーに関する記事が突出して多いという発言があった。すでにしばしば指摘されている点ではあるが、他の言語と比較したグラフだったので衝撃的だったようだ。そもそもポップカルチャーへの偏重の善悪を論じることにあまり意味を感じないのだが、個人的にはウェブ情報におけるWikipedia以外のポップカルチャー情報の量や、日本語版Wikipediaが手薄とされるジャンルの情報がWikipedia以外のウェブにどれくらい存在するのか、といった観点での調査は面白いのではないだろうか。

この後は、長尾真さん(国立国会図書館)による「辞書・事典とは何か−その体系性・網羅性・信頼性を求めて」と題した講演。

副題にある通り、「体系性」「網羅性」「信頼性」という3つの観点から、「辞書・事典とは何か」を論じ、それらの議論を踏まえた上でWikipediaのさらなる向上のために「体系性」「網羅性」「信頼性」という観点からの課題を指摘されたという感じだろうか。また、これはまだ感覚的な印象に過ぎないが、長尾さんは「信頼性」という言葉と、「正確性」という言葉を、意識的に使い分けていたように思う。これは機会があれば、一度ご本人にうかがってみたい。

さて、コーディネーターとしては、NHKニュースによる

国立国会図書館の長尾真館長が「ウィキペディアは誰でも記事を書けるだけに、まちがった記事も多く、学問の世界でそのまま利用することは難しい。便利なサービスだが、利用者は記事の内容を別の文献で再度チェックするなど注意する必要がある」と課題を指摘しました。

・「ウィキペディアを考える催し」(NHKニュース、2009-11-22)
http://www.nhk.or.jp/news/t10013948991000.html

というまとめ方は、それこそ正確性に欠け、メディアとしての信頼性を疑うというのが正直な感想。考えようによっては、Wikipediaとは別のドメインに存在するメディアが今回のイベントをどのように報道するかを注視すると、「信頼性」や「正確性」を考える上での良い教材になるのかも知れない。

その後は、人文セッションの会場にほぼ常駐し、吉川仁さん(京都大学) 、當山日出夫さん(立命館大学)、三宅なほみ(東京大学)Ks aka 98さんによる「ウィキペディアと「学び」」、黒木重昭さん(ネットアドバンス)による「紙の百科事典からデジタル百科事典への歩み−一出版人からのレポート」、津野海太郎さんによる「百科事典とコンピュータ文化」を拝聴。

なお、

・「Wikimedia Conference Japan 2009へのセッション協力」(編集日誌、2009-10-03
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091005/1254674387

の時点ではプログラム未定のため明かせなかったが、結局今回セッション協力としてお手伝いしたのは、

・基調講演2「辞書・事典とは何か−その体系性・網羅性・信頼性を求めて」
・人文セッション「ウィキペディアと「学び」」
・人文セッション「紙の百科事典からデジタル百科事典への歩み−一出版人からのレポート」
・ポスター・デモ展示(国立国会図書館科学技術振興機構国立情報学研究所、ネットアドバンス)

の4点。ポスター・デモ展示は来客が少ないのではないかと案じていたが、関心が高かったようでなにより。


全体的な感想としては、基調講演以降は6つのセッションの並行開催ということで来場者の分散を恐れていたが杞憂に過ぎなかった。恐らく終日では300名近い参加者だったのではないだろうか。雨も降り、師走並みの寒さの中、これほどの人数が集まったことに感動する。また、参加者も多様だった。Wikipedianのみならず、研究者、技術者、ジャーナリスト、編集者、ブロガー等、他のイベントではなかなか類をみない顔ぶれだったと思う。イベントに対して問題点や課題を挙げることは簡単だが、とにもかくにも開催にこぎつけ、事故なく無事開催をやり遂げたことにまず拍手したい。そして、なによりも基調講演の間も、各セッションの間も、受付等の事務に走り回っていたWikipedian有志の方々と東京大学知の構造化センターの方々に感謝したい。Wikipediaがそうであるように、Wikimedia Conference Japan 2009もその裏にいる人々の行為があればこそ存在しているのだから。

402号(2009-11-23、4794部)

  • 新着・新発見リソース
  • イベントカレンダー
  • 活動予定と活動報告
  • サイト更新情報
  • 編集日誌
    • DESIGN IT! Conference 2009に参加−クラウドの信頼性についての小考察
    • WebDB Forum 2009開催2日目−特別セッション3「インターンシップと産学連携の可能性」と企業賞の授与
    • Wikimedia Conference Japan 2009に参加−基調講演等のセッション開催に協力 など、7日分

http://archive.mag2.com/0000005669/20091123200223000.html
http://archive.mag2.com/0000005669/20091123200644000.html

メールマガジンの配信登録(無料)をしていただくと、定期的にまとめて記事がお手許に届きます。下の空欄にメールアドレスを入力し、右の[配信登録(無料)]を押してください。

メールアドレス: