2006-11-03(Thu): 総長選の専用サイト

北海道大学が総長選考会議の専用サイトを公開した。国立大学法人化を契機に教員の投票による従来の学長選挙から委員の投票による選出に変わった大学が少なくない。北海道大学もその一つであるように記憶している。北海道大学の場合、教員や職員が参加する公開質疑と意向聴取を経て、最後は経営協議会、理事会、教育研究評議会の各メンバーで構成される総長選考会議の投票で学長を決定する流れになっている。北海道大学職員組合(北大職組)をはじめ関係する団体や個人からの批判がある以上、いや批判があってもなくても、公開質疑や意向聴取の内容を順次公開し、透明感のある総長選考としてほしい。

・総長選考会議
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/sochosenko/kaigi-top.htm
北海道大学
http://www.hokudai.ac.jp/
北海道大学職員組合(北大職組)
http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/

2006-11-02(Thu): 白川静さん、逝去

漢字研究者の白川静さんが10月30日に亡くなっていたことが明らかにされた。享年96歳。白川さんについては、在籍した立命館大学と出身である福井県福井県立図書館が以下のサイトを公開している。

白川静の世界(立命館大学中国文学専攻)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/cl/shirakwa/
立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/
・白川文字学の室(福井県立図書館)
http://www.library.pref.fukui.jp/sirakawa/top.html

このうち立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所はつい先日の10月10日に公開されている。

ちなみに白川さんの仕事というと字書3部作として知られる

・『字通』(平凡社、1996年、23000円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4582128041/arg-22/
・新訂『字統』(平凡社、2004年、18900円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4582128068/arg-22/
・新訂『字訓』(平凡社、2005年、17850円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4582128076/arg-22/

が有名だが、

・『漢字−生い立ちとその背景』(岩波新書、1970年、777円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004120950/arg-22/
・『漢字百話』(中公新書、1978年、756円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4121005007/arg-22/

といったものもある。

2006-11-01(Wed): 図書館の自由

・「少年犯罪の実名報道紙・誌 図書館協会「原則公開」へ」(朝日新聞、2006-11-01)
http://www.asahi.com/national/update/1101/TKY200611010271.html
・「少年容疑者の顔写真掲載、閲覧を制限せず……図書館協会」(読売新聞、2006-11-01)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061101ic27.htm

という報道に接する。記事にある通り、徳山の高専女子学生殺害事件で話題になった図書館の対応もこれで一段落するだろうか。
しかし、日本図書館協会が図書館の自由を再確認しなくてはいけないということに危機を感じる。同種の事件があるたびに、日本図書館協会国立国会図書館におうかがいを立てる公共図書館があるという。ビジネス支援や法支援といった領域に公共図書館が進出しているが、それ以前に図書館とは何かということを公共図書館の職員には真剣に考えてほしい。
ところで、これだけ大きな報道があったにも関わらず、日本図書館協会のサイトには、この件に関する情報が掲載されていない。せっかく日本図書館協会の館換えや公共図書館の実情を世間にアピールする機会なのに惜しいことだ。
なお、直接関係ないが、日本図書館協会図書館の自由委員会のサイトはRSSを配信していることを知った。

日本図書館協会図書館の自由委員会
http://www.jla.or.jp/jiyu/
図書館の自由に関する宣言
http://www.jla.or.jp/ziyuu.htm
日本図書館協会
http://www.jla.or.jp/

2006-10-31(Tue): 制作者の名前

日本芸術文化振興会が公開している「能楽への誘い」と「文楽への誘い」には、

製作・著作:独立行政法人日本芸術文化振興会
制作:株式会社桜映画社/制作協力:ソニーPCL株式会社
協力:社団法人能楽協会
能楽への誘い)

製作・著作:日本芸術文化振興会/制作:株式会社桜映画社/制作協力:ソニーPCL株式会社
協力:財団法人文楽協会/NPO法人人形浄瑠璃文楽
文楽への誘い)

と、これらのサイトの創造を担った日本芸術文化振興会以外の組織の名称を記している。このような情報の公開はありそうでまったくない情報の一つであり、その点からも重要だ。

能楽への誘い
http://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/noh/jp/
文楽への誘い
http://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/bunraku/jp/
日本芸術文化振興会
http://www.ntj.jac.go.jp/

2006-10-30(Mon): WWWの総量

メモとして。
総務省情報通信政策研究所が「WWWコンテンツ情報量に関する調査」を実施していたようだ。研究所のサイトに以下の情報がある。

情報通信政策研究所では、Webサイトのコンテンツ量(ファイル数、データ量)を分析するため、クローリングロボット(クローラー)による調査を実施しております。
調査概要はこちらをご参照下さい。
本調査に関するお問い合わせはこちらまで。(平成18年7月)
調査期間:平成18年7月〜9月
調査対象:官公庁・国立国会図書館、県、市町村、大学、企業(東証一部上場)の各Webサイト

どんな結果が出るのか、公表が待ち遠しい。

総務省情報通信政策研究所
http://www.soumu.go.jp/iicp/

2006-10-29(Sun): 東京大学史料編纂所、リサーチフェローを募集中

東京大学史料編纂所に新たに設けられた前近代日本史情報国際センターでリサーチフェローを募集している。「歴史資料(史料)からの知識データの抽出および史料マイニング等のシステムの開発研究に取り組むことができる若手研究者1名を募集」とのこと。応募資格は「当該分野において博士の学位を有するか、または取得見込みの者」。募集の締め切りは11月10日(金)。

東京大学史料編纂所リサーチフェロー募集
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/061020kobo.html
・前近代日本史情報国際センター
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/cdps/cdpsindex.html
東京大学史料編纂所
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/index-j.html

2006-10-28(Sat): 最低限のルール

統計調査や社会調査の個票データを公開しているSSJデータアーカイブのお知らせに次のような一文が掲載されている。

●10月25日
最近、成果物に予め定められた形での出典を明記しないことや、データの提供方法の記入漏れ、成果物を発表したにもかかわらず提出しないなどの、誓約事項を守らない利用者が散見されます。このような不適切な利用が相次ぎますと、寄託機関からの信用を失い、データアーカイブの維持ができなくなる可能性があります。誓約事項を守らなかった場合には、利用停止などの必要な措置をとることがあります。利用者の方は、今一度、誓約事項や、データに添付されているReadmeファイルをご確認いただき、データ利用ルールを厳守してくださいますよう、お願い申し上げます。

現時点ではやんわりした注意に留まっているが、これは発覚した時点で利用停止にしたうえで氏名を公表してよいのではないかと思う。ことはSSJデータアーカイブと利用者との間の問題であるだけでない。SSJデータアーカイブとデータを寄託した企業や団体との間の信頼関係に大きな影響を与える問題ではないだろうか。

ちなみにデータ利用者が署名・捺印している誓約事項には、

二次分析の結果を発表する際には、個票データについて以下の文を付すことにより、個票データの出典を明記します。

利用期限終了後は、個票データを消去して、利用報告書をSSJデータアーカイブに提出します。その際、論文等を発表していれば、利用した調査の寄託者数 + SSJデータアーカイブ分 1 の部数を同封します。

という誓約が含まれている。

・SSJデータアーカイブ
http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/
・誓約事項
http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/access-cond.html#swear

2006-11-20(Mon):

日本私学経営活性化協会「eラーニングの現状と今後の展望、およびITコンテンツによる大学の公開及び大学の広報戦略」
(於・東京都/青山ナジックプラザセミナールーム)
http://www16.ocn.ne.jp/~kasseika/

理化学研究所、ゲノムデータベースの検索ソフト「オミックブラウズ(OmicBrowse)」を公開

理化学研究所横浜研究所ゲノム科学総合研究センター生命システムデータベースチームらがゲノムデータベースの検索ソフト「オミックブラウズ(OmicBrowse)」を公開した(2006-11-01)。解析されたゲノムデータを検索し、可視化できる。このソフトがGNUGPLに基づき、オープンソースのソフトウェアとして公開されていることは特筆に価するだろう。なお、「Bioinformatics」誌に「OmicBrowse: a browser of multidimensional omics annotations」と題した、開発者らによる紹介記事が掲載されている。

・Genome-Phenome Superbrain Project (GPSP)
http://omicspace.riken.jp/
・ダウンロードページ
http://omicspace.riken.jp/omicBrowse/OmicBrowseRegister.html
・マニュアルページ
http://omicspace.riken.jp/gpsHelp/
・「ゲノムデータベースの検索ソフトを無償公開」(理化学研究所2006-10-30
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/061030/
・「ゲノムデータベースの検索ソフトを無償公開−ゲノム地図の可視化と検索プログラムが誰でも自由に利用可能に−」(理化学研究所2006-10-30
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/061030/detail.html
理化学研究所横浜研究所ゲノム科学総合研究センター
http://www.gsc.riken.go.jp/
理化学研究所
http://www.riken.jp/
GNU
http://www.gnu.org/home.ja.html
・OmicBrowse: a browser of multidimensional omics annotations
http://bioinformatics.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/btl523v1
http://bioinformatics.oxfordjournals.org/cgi/reprint/btl523v1

国立国会図書館、広報強化方針を公開

国立国会図書館が広報強化方針を公開した(2006-10-26)。推進する施策やその成果に対する理解の促進、事業の透明性や信頼性の向上、社会環境の変化への対応を理由に、次の5つの方針をうたっている。

  1. 広報の目標
  2. 能動的広報の強化
  3. 広報対象に応じた的確な広報
  4. 適切な広報手段・方法の活用
  5. 全館的な体制の強化
    1. 部局を超えた情報の発信
    2. 広報体制の再構築
    3. 広報マインドの向上

国立の機関がこのような方針を明示すること自体が稀であることを思うと、国立国会図書館の今回の発表は英断といっていいだろう。ここに至るまで内部で相当な議論があったことと想像する。関係者の尽力に敬意を払いたい。特に方針の5点目に挙げられている「全館的な体制の強化」に期待したい。徐々に改善されつつはあるものの、これまでの国立国会図書館の広報体制は部門単位の取り組みを外部に感じさせるものだった。たとえば、国立国会図書館の部門である国際子ども図書館のサイトの新着情報が国立国会図書館のサイトには掲載されなかったり、国内の公共図書館向けの新着情報が国立国会図書館のサイトのトップページには掲載されないことが多かった。こういった点が引き続き改善されるよう望みたい。
と、同時に各部局ごとの独自性や創造性を失うことがないように十分に配慮してほしい。広報強化を打ち出したものの、結果的に広報部門の管理体制だけが強まり情報発信の目詰まりを起こすことがあってはならない。たとえば、国立国会図書館関西館を中心に取り組まれている「Current Awareness Portal」のようなサイトでの発信内容を逐一広報部門が事前チェックするということになってはいけない。あくまで各部門に責任者を置き、自律・分散を原則に、広報部門が各部門の協調関係を育むという体制をとってほしい。自律・分散・協調という原則を維持してはじめて、広報の強化が実現されるはずだ。
なお、方針の4番目の「適切な広報手段・方法の活用」に、「広報目的に応じて有効な広報手段を使い分ける」という一文がある。両面に解釈できるので一概にはいえないが、開放的な方向に進んでほしい。現時点での課題として感じることを例に述べておこう。国立国会図書館は「図書館協力ニュース」というメールマガジンを発行している。このメールマガジンのページには「図書館あるいは図書館員であればどなたでも配信登録ができます」と記されている。配信登録をする際には、所属する図書館名や図書館の所在地、館種を入力しなくてはいけない。善意に解釈すれば、あくまで図書館関係者向けの情報であり、一般の市民が読んでも役に立たない、という判断があってこうなっているのだろう。だが、その判断をするのは情報を発信する側である国立国会図書館である必要はない。その情報を受け取るかどうかという判断は読み手にゆだねればよいことだ。「広報目的に応じて有効な広報手段を使い分ける」ということは当然のことではあるが、この考え方がこの情報を必要とするのは誰それである、という予断と結びつかないようにしてほしい。そして、図書館関係者向けのこの情報はメールマガジンで図書館員に配信し、一般の市民向けの図書館情報は別の手段で提供すればいい、という考えに行き着かないようにしてほしい。重ねて言うと、出せる情報、出したい情報、出すべき情報があれば、すべてを誰に対してでも発信し公開すればいいのであって、過度に利用者層を想定し、結果として限定し、特定の層だけに情報が発信されるということになってはならない。
先の一文は「広報目的に応じて有効な広報手段を使い分けるとともに、効果的・効率的に広報できるよう常に見直しを図る」と続いている。であれば、ぜひまずは「図書館協力ニュース」の配信方法を見直してほしい。方針の公表を受けて国立国会図書館には様々な声が寄せられるだろう。その負担の大きさはよくわかる。だが、こういった声一つひとつに主体的に応えていくことこそが、この方針が目的とする市民の理解や協力、市民による国立国会図書館の活用へとつながっていくはずだ。

・広報強化方針
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/public_relations.html
・Current Awareness Portal
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/
メールマガジン『図書館協力ニュース』
http://www.ndl.go.jp/jp/library/library_news_toroku.html
・『図書館協力ニュース』配信登録
https://blue.tricorn.net/ndl/mbr2.x
国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/

文化遺産国際協力コンソーシアム、サイトを公開

文化遺産国際協力コンソーシアムがサイトを公開した(2006-10-20)。文化遺産国際協力コンソーシアムは2006年6月20日に「海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法」の成立を受けて設立されており、文化遺産保護の国際協力の持続的発展に寄与するために、文化遺産保護の動機を共有する機関や個人等の幅広い結集を図り、協調的・連携的な国際協力のための共通基盤を確立すること」を目的としている。会長は画家の平山郁夫さん。
サイトの内容はまだ組織紹介に留まっているが、コンソーシアムの使命の一つに「ネットワークを活用した情報の収集と提供(カントリーレポートの作成とHP開設など)」を挙げており、今後の進展を期待させられる。

文化遺産国際協力コンソーシアム
http://www.jcic-heritage.jp/
・「コンソーシアムの公式サイトを新設しました。」(2006-10-20
http://www.jcic-heritage.jp/information/information_061020.html

国立情報学研究所(NII)、「英国のリポジトリをリンクする −機関リポジトリ等のデジタルリポジトリを対象とするリポジトリ横断型のユーザー指向サービスを支援する技術・組織モデル 予備的評価研究報告書」の日本語訳を公開

国立情報学研究所(NII)が次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業のページで、「英国のリポジトリをリンクする −機関リポジトリ等のデジタルリポジトリを対象とするリポジトリ横断型のユーザー指向サービスを支援する技術・組織モデル 予備的評価研究報告書」の日本語訳を公開した(2006-10-31)。イギリスにおける機関リポジトリについて主に技術的な可能性を論じた"Linking UK Repositories: Technical and organisational models to support user-oriented services across institutional and other digital repositories"を翻訳したもので、原文は2006年6月5日に著されている。著者はキー・パースペクティブ有限会社のAlma Swanさんとハル大学のChris Awreさん。

・「英国のリポジトリをリンクする −機関リポジトリ等のデジタルリポジトリを対象とするリポジトリ横断型のユーザー指向サービスを支援する技術・組織モデル 予備的評価研究報告書」
http://www.nii.ac.jp/irp/info/translation/LinkingUKRepositories.html
・同上の附録
http://www.nii.ac.jp/irp/info/translation/LinkingUKRepositoriesAppendix.html
・"Linking UK Repositories: Technical and organisational models to support user-oriented services across institutional and other digital repositories"【PDF】
http://www.keyperspectives.co.uk/openaccessarchive/reports/Linking%20UK%20Repositories%20report.pdf
・Appendix【PDF】
http://www.keyperspectives.co.uk/openaccessarchive/reports/Linking%20UK%20Repositories%20report%20appendix.pdf
Alma Swanさん
http://www.keyperspectives.co.uk/aboutus/aswan.html
・次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業
http://www.nii.ac.jp/irp/
国立情報学研究所(NII)
http://www.nii.ac.jp/